地学・動植物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 18:07 UTC 版)
大文字山と如意ヶ嶽の稜線(おおよそ、東西のライン)を境に北側、比叡山との間を花崗岩質が占め(北白川花崗岩)、そこを白川が流れ、白川扇状地を形作る。南側が丹波層群と呼ばれる堆積岩。その境目はホルンフェルスとなっている。すなわち風化しやすい花崗岩が浸食され、そうでない部分がそのまま残った結果、如意ヶ嶽・大文字山から比叡山にかけての山容が形作られたものである。 大文字山・如意ヶ嶽(あるいは東山)については広葉樹を中心多様な植物が見られるが、北部については前述の通り花崗岩地帯である。この区域については風化が激しく植物は極相に遷移するには至らず、また土壌も痩せており、アカマツ、コナラなどが多く見られる二次林となっている。また、酸性土壌によく見られるツツジ科植物なども生育し、アカマツ林ではかつてはマツタケも多く見られていたという。その他スギやヒノキの植林地などもある。 なお東山国有林は明治初期の「社寺上知令」で社寺から国に管轄が移ったのであるが、その際に社寺側が、せめて木材を伐採・売却してから返還を行おうとしたため、伐採跡となってしまった。その後の伐採禁止令後まずアカマツが成長し、昭和初期cには東山国有林の70%がアカマツで占められていた。そしてその後シイ林へと植生が遷移していったという。2007年現在マツノザイセンチュウによる松枯れの被害などもあり、東山国有林の西側(京都側)は大部分がシイ林となっており、今後も拡大が続くとみられている。これについては景観を乱すとして、対策が協議されている状態である。ただしこれは東山国有林全体の話であり、必ずしも銀閣寺国有林に直接当てはめられる話であるとは限らない。その後、東山国有林は、1994年、ユネスコの世界文化遺産に清水寺と慈照寺が登録されたことにより、全域が「世界文化遺産貢献の深林」に設定されている。 大文字山に生息している哺乳類は大型ではニホンザルイノシシ、キツネ、タヌキ、ニホンジカから、ムササビ、ニホンテン、数種類のコウモリ。小型では何種かのネズミに至るまで、18種ないし20種程度。最も良く見られるのはムササビであるという。野鳥も多く見られ、『フィールドガイド 大文字山』にも数十種類が挙げられている。 昆虫類はクワガタムシなどが見られる。大文字山に生息するクロシジミは京都では他にこの近辺の音羽山、比叡山にしか生息しておらず、絶滅の危機にさらされているという。
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