地域差・区画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 06:47 UTC 版)
岐阜県の方言は愛知県の方言同様西日本方言と東日本方言の境界地帯にあたり、文法は西日本的、音韻・アクセントでは東日本的な特徴を持つ。長野県や北陸、近畿との県境での方言差が大きく、それに比べると県内の方言差は小さい。一般には美濃と飛騨で対立すると考えられるが、実際には美濃と飛騨の間にはっきりした方言境界はなく、美濃北部と飛騨が一つのまとまりとして北部方言を構成し、美濃南部(南部方言)と対立する。北部方言の範囲は、おおむね郡上市および揖斐郡北部・本巣市北部・旧武儀郡北部・加茂郡北部・旧恵那郡北部以北にあたる。北部方言と南部方言の主な違いには、以下がある。 連母音の融合が北部ではまれだが、南部ではai→æː/aːのような変化がある。 勧誘表現が、北部で「行かまいか」、南部で「行こまいか」。 「何」「いつ」「どこ」といった疑問詞のアクセントが、北部で「なにが」型、南部で「なにが」型。 一段活用動詞のアクセントで共通語で「あげる」型のものが、南部では「あげる」型になる。 美濃弁は西に行けば行くほど近畿方言(関西弁)的、東に行けば行くほど長野・山梨・静岡方言的色彩が強まる傾向がある。美濃西端の揖斐郡北部・不破郡西部・養老郡西部は、近畿方言からの影響が強い地域で、一区画をなしている。この地域では、京阪式アクセントまたはその変種(垂井式アクセント)、一拍名詞の長音化現象、「買うた」、敬語「…はる」などの近畿方言的特徴を持つ。一方、東部の東濃南部(おおむね多治見市・土岐市・瑞浪市・恵那市・中津川市南部)は、アクセントや語法で三河方言の影響が見られる地域であり、ここも一区画とされる。以上の地域を除いた美濃中心部が、西美濃と東美濃に分けられる。以上を総合し、岐阜県の方言は例えば以下のような区分が行なわれている。 北・中部圏 - 飛騨・北濃・中濃北部・東濃北部 美濃西縁圏 - 揖斐郡北部・不破郡西部・養老郡西部 西美濃圏 - 西濃(美濃西縁圏を除く)・中濃(北部を除く) 東美濃圏 - 東濃(北部と南部を除く) 美濃東南圏 - 東濃南部 東美濃と西美濃の境界は研究者により違いがあり、旧武儀町・加茂郡・可児郡等を東美濃に入れる説もある。また西美濃、東美濃をさらにそれぞれ東西に細分する場合もある。 北・中部圏に属する郡上市周辺の方言は城下町の言葉として独自の発達をしたため、「郡上弁」とも呼ばれる。江戸時代に同じ郡上藩領であった福井県大野市旧和泉村は郡上方言からの影響が強く、東京式アクセントなど美濃弁要素がみられる。
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