国や製薬会社のせいではないとする意見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 17:54 UTC 版)
「イレッサ訴訟」の記事における「国や製薬会社のせいではないとする意見」の解説
独立行政法人国立がん研究センターは、卵巣がん体験者の会スマイリー代表および特定非営利活動法人グループ ・ネクサス(悪性リンパ腫患者・家族連絡会)代表も同席した記者会見で「重大な副作用の個々の内容に優劣はなく、記載されていれば、医療従事者として順番は関係ない(4番目だから問題ではない)」と見解を示している。 日本医学会は「添付文書に記載があってなお過失があると言われては、正直、現場は途方にくれてしまいます。」と見解を示している。 日本臨床腫瘍学会は「今回の勧告では、副作用の記載順序に言及されているようですが、記載順序にかかわらず医師や薬剤師は効果のみならず副作用について説明を患者さんに行い、了解を得て治療は開始されるのが医療の現場の状況であります。したがって本勧告は、本薬剤を使用した医師の専門家としての役割を軽んじるとも受け取れます。」と見解を示している。 日本肺癌学会は「今回の和解勧告では初版の添付文書の重大な副作用欄の 4 番目に間質性肺炎が記載されていたが、それでは不十分で死亡率の高いこのような副作用は1番目に記載していなかった事に対して、国とアストラゼネカ社に過失があり、損害賠償を勧めています。しかしながら、その論理は上述しましたように、後の時代になって急速に蓄積されたゲフィチニブに関する多くの知見に基づいた後方視的な批判となっております。」と見解を示している。 社団法人日本病院薬剤師会は「添付文書上の副作用の順番が議論されていますが、『重要な副作用』への記載順番で将来起こる可能性を全て予測できれば、こんな楽な話はありません。限られた症例からは未知の重篤な副作用が多発することを予測すること、ましてやその順番を明らかにすることは極めて難しいと言わざるを得ません。それを行政や承認審査の部会や審議会の責任にすることは妥当ではありません。」「重篤な副作用を防ぐためには医師、薬剤師の責任は極めて重いことを再認識することが重要です。」と見解を示している。 骨髄腫の患者団体である日本骨髄腫患者の会は、「医師も読まなければいけない添付文書に書かれてある注意なのに、どうしてその承認がおかしいと言われているのか、記載の場所にばかりフォーカスがあたっていますが、患者と主治医のコミュニケーションの問題でもあるように思います。」と声明を発表している。 日本血液学会は「添付文書に記載があるものについて、国の過失や責任を問うならば、多くの抗がん剤や骨髄腫の治療薬として再承認されたサリドマイドのような薬を国は承認できなくなるのではないかと懸念しています。」「今回の和解勧告は、新たな治療法や治療薬の開発を求める多くのがん患者さんの切実な願いを阻むものであり、看過することはできないものと考えます。」としている。 腫瘍内科医の勝俣範之は、「専門医でない医師」により「本来では投与されるべきでなかった患者」に対して「不適切な過剰投与」がなされたことが根本原因としている。また勝俣は2013年4月に自身のTwitterで「抗がん剤の非専門家が過剰な処方をしてしまったことが問題」「本当に訴えられるべきは、不適切に過剰な処方をした医師だった」とし、抗がん剤を腫瘍内科医(抗がん剤専門医)が処方し副作用マネージメントすることの重要性を指摘している。
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