回路モジュール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 07:47 UTC 版)
「ディジタル・イクイップメント・コーポレーション」の記事における「回路モジュール」の解説
1958年の早い時期に、DECはその最初の製品である "Digital Laboratory Module" のラインナップを出荷した。このモジュールは、電子部品とゲルマニウムトランジスタをプリント基板に装着したもので、その回路はTX-2の回路を基にしている。 ひとつのDigital Laboratory Moduleは、論理回路の1、2個のフリップフロップ、ゲート、変換器などとして機能する。押し出し成型のアルミニウムでパッケージされており、各モジュールの前面パネルにあるジャックをコードで繋いで機能させる。科学技術関連の実験などが可能だった。動作速度には5MHz(1957年)、500kHz(1959年)、10MHz(1960年)というバージョンがある。特に他のコンピュータ企業が自社製システムの試験装置を構築するのによく使った。1950年代末の景気後退にもかかわらず、1958年だけで9万4千ドルを売り上げ、初年度で黒字を達成した。 間もなく、内部は同じだが異なるパッケージの "Digital Systems Module" も発売した。これは後端にあるアンフェノール型の22ピンコネクタで相互接続するよう設計されており、専用19インチラックに複数収めることができる。ラックの1つの棚(高さ5.25インチ)に25モジュールを収納でき、高密度に収納することでコンピュータを構築可能である。DEC自身もこれを使って磁気コアメモリシステムの試験装置を構築し、それを8年間で約50台販売した。 このようなモジュールは、PDPシリーズでも "System Building Blocks" として使用された。 後に、同様の回路を "R" (red) シリーズ「フリップチップ」モジュールとしてパッケージ化した(訳注:「フリップチップ」は商標(en:Flip Chip (trademark))で、集積回路を基板に実装する技術の、チップを直接基板に接触させ実装する手法の名称であるフリップチップとは無関係)。後に、もっと高速高密度なモジュールも製品化された。DECはモジュールに関して基礎から理解するための広範囲のデータを約A5版大、厚さ約2センチの無料のカタログ本(英文)の形で提供し、これが非常にポピュラーになった。 このカタログ本の無料提供はミニコンピュータでも継承されI/Oのハードウェア機能やインタフェース手法とアセンブリ言語を基礎から応用まで理解し、モジュールを買ったユーザは自ら制御システムを構築できた。事務用とは異なる制御用のコンピュータであるため、採用を検討しているユーザにも教科書(カタログ本)を広く配り、ユーザが独自に学び個々のシステムの構築することを促進する方針を採った。これら大量配布のカタログ本は自社内の印刷・製本部門で作られた。
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