問題とされている方法論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/03 08:12 UTC 版)
「畜産業の環境負荷報告書」の記事における「問題とされている方法論」の解説
食肉業界の関係者は、国連の報告書で用いられている計算方法、とりわけ、畜産業界が原因による森林伐採が計算に含まれていることに関して反論している。関係者は、牧草や草を飼料として与えることは、ニュージーランドではとても一般的な事であるとし、畜産から排出されるメタンガスと亜酸化窒素が、ニュージーランドで排出されている温室効果ガスの半数を占めるのにも関わらず、畜産業への排出が低くなると主張している。この仮説とは裏腹に、Animal Science (動物科学)の機関紙の研究によると、放牧と飼育場からのメタンガスの排出を比較すると、放牧されている牛は飼料を与えられて飼育されている牛の4倍のメタンガスを排出しているとしている。“これらの測定結果は、質が低く、繊維の多い食生活をしている牛の方が、穀物率の高い食生活をしている牛よりもメタンガスを明らかに多く(約4倍)排出していると証明している。”これに続く研究でも、この結果をサポートする結果が出ている。アメリカ合衆国環境保護庁によって、2008年4月版のアメリカ合衆国の排出に関する調査明細報告書によると、“2006年度の排出において、農業業界がアメリカ合衆国の温室効果ガスの全排出量の6%を占めている”としている。この報告書の農業の章では、米の生産、家畜による腸内発酵、家畜の糞尿・肥やし管理、農業の土壌管理についても含まれているが、燃料燃焼、農業による二酸化炭素の流れとその他の土地の使用方法の変化については含まれていない。ただし別途、エネルギー、土地使用、土地使用の変化、森林に関する章が設けられている。この結果について、2009年度のアメリカ合衆国環境保護庁のアメリカ合衆国における温室効果ガスについての調査明細報告書の草稿でも、同じことが書かれている。 2009年に発行された“Worldwatch Institute” 誌によると、環境アセスメントのスペシャリスト(環境影響評価専門家)であるRobert Goodland(ロバート・グッドランド)氏とJeff Anhang(ジェフ・アンハン)氏は、家畜と気候変動について、国際連合食糧農業機関(通称:FAO)は、畜産業界が少なくとも全世界の温室効果ガスの51%を排出しているにも関わらず、畜産業界による環境への影響について大きく過小評価していると主張している。また、国際連合食糧農業機関(通称:FAO)が、グッドランド氏とアンハン氏が推薦する地球温暖化係数の20年値ではなく、地球温暖化係数(通称:GWP)の100年値のメタンガスの数値を使用していることを批判する声も上がっている。しかしながら、グッドランド氏とアンハン氏も、家畜によるメタンガス排出については除くが、地球温暖化係数の100年値の中の人為的起源による温室効果ガスの数値を自分たちの分析に使用し続けているという事実がある。さらなる論争点として、グッドランド氏とアンハン氏は、動物による呼吸については、生態系における短期の炭素循環であると広く認知され、除外されているにも関わらず、動物による呼吸も数値に含まれるべきであると主張していることである。報告書は国際連合食糧農業機関(通称:FAO)から高く評価され、国際連合の機関や国際的機関にて参考・引用されている。しかしながら、畜産と気候変動への批判が起きており、その中には国際連合食糧農業機関(通称:FAO)内部からのものもある。国際連合食糧農業機関(通称:FAO)は、改訂された方法と新しい参考年度(2005年)のデータを使用し、人為的起因による温室効果ガスの排出の14.5%は畜産業によるものであると推定している。
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