品質および検査体制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/18 22:59 UTC 版)
石油元売りの卸売価格の決定には二つの方式がある。一つは、主に中小の系列特約店向けの『エリア市況リンク方式』で、元売りが地域ごとにガソリンの末端販売価格を基に基準価格を定めてそこから系列特約店等の販売量等に応じて数量割引額等を差し引いて卸売価格を算出する方式である。もう一つは、主に大手系列の特約店向け系列玉や業転玉向けの『RIMリンク方式』で、リム情報開発が公表しているガソリン価格である『RIM価格』を指標として卸売価格を決定する方式である。系列特約店向け系列玉と商社等向け業転玉の卸売価格には、1リットルあたり3円から8円程度の価格差がある。 しかしながら、それは業転玉として流通したガソリンの品質が悪いということを意味しない。結論から述べれば、系列SSと無印SSで供給されるガソリン·軽油·灯油の品質は全く同等である。実際、系列玉も業転玉も国内の元売りのどの系列においても同じ貯蔵タンクから汲み出されている。レギュラーガソリンはもちろんだが、各元売り系列ごとに独自性能を宣伝して販売してきたハイオクガソリンにおいても、2000年頃から油槽所の共同利用や共同配送およびバーター取引をしている。およそ20年にわたって隠蔽されてきたこの事件は2020年に明るみに出た。NPOが消費者庁に再発防止措置を要請し、最終的に、本件は内閣も懸念するほどの問題に発展した。この時に石油元売り各社などで作る業界団体である石油連盟の杉森務(ENEOSホールディングスの代表取締役でもある)は各元売り系列で品質は同等であると認めている。実際に各社で殆ど差が無いという評価結果もある。 また、揮発油等の品質の確保等に関する法律で各種燃料油の強制規格が厳格に定められており、販売業者と元売りの両方に業者登録および品質管理義務が課されている。具体的には、石油販売業者は品質について10日に1度の自己分析義務を負う。(石油販売業者はこの分析を全国石油協会などの同法に基づく登録分析機関に委託することもできる。)一定の要件を満たした場合は、品質維持計画認定制度によって分析頻度が1年あたり1回に軽減される。その一方で、品質分析義務に違反した場合には6ヶ月間以内の事業停止命令が下され、さらに、その命令に違反いた場合には罰則(懲役や罰金)および登録取消しの処分が下される。つまり、上記の処罰は、系列SS·PBSS·無印SSのいずれにおいても違反が発覚した場合には経営存続に疑義が発生するほどに重い処分であり、系列SSでは違反が少なく無印SSでは違反が多いといった偏りを生む原因とはならない。 上記とは別に、資源エネルギー庁からの委託により、全国石油協会および新日本検定協会や日本海事検定協会が全国の給油所を対象に四半期ごとに試買分析を実施して結果を公開している。不適合や試買拒否は資源エネルギー庁に報告され、同庁による上記の法律に基づく立入検査等の措置が執られる。 なお、石油元売り各社は、他社製と混合したハイオクガソリンをSSに出荷していた一方で、特約店に対しては他社製ガソリンとの混合販売を禁じてきた。この行為は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律に抵触すると公正取引委員会は警告している。
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