品詞語尾と語根
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 06:07 UTC 版)
エスペラントではすべての名詞、形容詞、動詞と、形容詞などからの派生副詞は、語根 (radiko) とその単語の品詞をあらわす品詞語尾 (finaĵo) の組み合わせによって構成される。たとえば forto(力)は fort- という語幹と名詞を表す語尾 -o から成り立っている。品詞語尾によって単語の品詞がわかり、また品詞語尾を換えることにより品詞を変化させることができる。たとえば forta とすると「強い」という意味になる。 品詞語尾 -o は名詞 (substantivo)、-a は形容詞 (adjektivo)、-e は副詞 (adverbo) をそれぞれ表す。名詞あるいは形容詞の品詞語尾の後ろに -j を加えると複数形になる。対格にするには -n を名詞あるいは形容詞語尾の後ろにつけ、複数形の場合は複数形語尾の後ろにつける。動詞には法や時制を表す6種類の語尾がある。 形容詞は名詞の数と格に一致させる。すなわち修飾する名詞が複数形の場合は形容詞も複数形にし、対格の場合は形容詞も対格にする。bona(よい)、tago(日)を例に一致の変化を示す。 主格対格単数bona tago bonan tagon 複数bonaj tagoj bonajn tagojn 形容詞の数と格の一致によって語順がかなり自由となり、また、形容詞‐名詞、名詞‐形容詞のどちらも可能であることによって標準的なSVO型のほか、SOV型やVSO型などの文も作ることができる。ただし初心者はこの「一致」を忘れることが多い(ただし、忘れても会話が成立しなくなるほどの問題になることはないだけの冗長性をエスペラントは備えている)。 La knabino feliĉan knabon kisis. (ラ・クナビーノ・フェリーチャン・クナーボン・キースィス)=「その少女は幸せな少年にキスした」 La knabino feliĉa knabon kisis. (ラ・クナビーノ・フェリーチャ・クナーボン・キースィス)=「その幸せな少女は少年にキスした」 合計すると2個以上になる複数個の単数形の名詞を修飾する形容詞は複数形にする。 ruĝaj domo kaj aŭto. (ルーヂャイ・ドーモ・カイ・アウト)=「赤い[家と車]」この例では家も車も赤いことになる(家も車も単数だが修飾する「赤い」が複数なので、両者にかかっていることがわかる。意味としては、ruĝa domo kaj ruĝa aŭto. (ルーヂャ・ドーモ・カイ・ルーヂャ・アウト)=「赤い家と赤い車」と同じ)。 ruĝa domo kaj aŭto. (ルーヂャ・ドーモ・カイ・アウト)=「[赤い家]と車」上の例に対してこちらは、家は赤いが車の色は不明である(修飾する「赤い」は単数なので、単数の「家」のみにかかることが明らか)。 叙述的な形容詞は対格としない。 Mi farbis la pordon ruĝan. (ミ・ファルビス・ラ・ポルドン・ルーヂャン)=「私は赤色のドアを塗った(ドアは始めから赤色)。」 Mi farbis la pordon ruĝa. (ミ・ファルビス・ラ・ポルドン・ルーヂャ)=「私はドアを赤色に塗った(塗った結果として赤色になった)。」
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