各種水素化反応に使用される触媒の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/05 18:36 UTC 版)
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C=C二重結合、C≡C三重結合をC−C単結合へ水素化するにはニッケル、ルテニウム、パラジウム、白金が良く用いられる。これらの中からの選択は基質に存在する他の官能基への選択性を考慮して選択される。場合によってはアダムス触媒と呼ばれる酸化白金 PtO2 のような強力な触媒が使用されることもある。 C≡C三重結合をC=C二重結合に部分還元するには、パラジウムを被毒して活性を低下させたリンドラー触媒がしばしば使用される。 芳香環を水素化して飽和の環に還元するにはルテニウム、ロジウムがしばしば使用される。特にロジウムは水素圧が低くても芳香環を還元することができる。ルテニウムは硫黄化合物による被毒を受けないのでチオフェン環の水素化にも利用できる。 アルデヒドおよびケトンの C=O 二重結合(カルボニル基)を CH−OH (アルコール)へ還元するにはニッケル、銅、ルテニウム、白金が良く用いられる。銅-酸化クロム触媒は C=C 二重結合よりもカルボニル基を選択的に還元できる傾向があるが、この目的にはヒドリド還元の方がすぐれている。 エステルのカルボニル基を還元するには、銅-酸化クロム触媒が使用されるが高温、高圧の条件が必要となる。 ベンジルアルコールやベンジルエーテルの C−O 単結合を加水素分解するにはパラジウム触媒が良く用いられる。この方法は有機合成においてアルコールをベンジル保護した後、脱保護するのに用いられる常法である。 炭素-硫黄結合を加水素分解するにはニッケル-アルミニウム合金をアルカリで溶解させて調製するラネーニッケル触媒が用いられる。この反応はアルミニウムの溶解の際にニッケルへ吸着された水素による水素化反応である。カルボニル基をジチオアセタールとした後に、この方法を使用するとメチレン基に還元できる。この反応は中性に近い条件で進行し、強酸性下で行われるクレメンゼン還元、強塩基性下で行われるウォルフ・キッシュナー還元の条件で不安定な物質にも適用できる。
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各種水素化反応に使用される触媒の例
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ウィルキンソン触媒は、炭素-炭素多重結合を炭素-炭素単結合に還元するのに使用される。カルボニル基やニトロ基は還元されない。また反応速度が立体的な影響を大きく受けるので分子内に複数の二重結合を持つ基質で、立体的に空いている二重結合を還元したい場合などに有効である。 クラブトリー触媒は、ウィルキンソン触媒では還元できないような、反応性の低い4級オレフィンも還元することが出来るイリジウム触媒である。分子内にヒドロキシル基やカルボニル基が存在する場合、立体選択的に還元を行うことが出来る。 キラルホスフィン-ロジウム錯体は、α,β-不飽和アミノ酸を不斉水素化するのに使用される。二座配位型 C2 対称性を持つホスフィン配位子が有効であることが知られており、これらは多くの場合アルファベットを読み下した略称で呼ばれる。アンリ・カガンらによって開発されたDIOP(ダイオプ)、ウィリアム・ノールズらによって開発されたDIPAMP(ダイパンプ)、野依良治らによって開発されたBINAP(バイナップ)、デュポンのマーク・バークによって開発されたDuPHOS(デュフォス)などである。 BINAP誘導体-酢酸ルテニウム錯体は、エナミン、α,β-不飽和カルボン酸、アリルアルコール等の不斉水素化に有効である。 BINAP誘導体-ハロゲン化ルテニウム錯体は、β-ケトエステルの不斉水素化に有効である。 ホスフィン-エチレンジアミン-ルテニウム錯体は、ケトンのカルボニル基の水素化に有効である。BINAP-光学活性エチレンジアミン-ルテニウム錯体を使用すると不斉水素化が可能である。
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