史論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/23 14:40 UTC 版)
内村鑑三と同様、イギリスの思想家トーマス・カーライルに影響を受けた。カーライルは1881年に没したが、没後間もない明治20年代半ば(1880年代後半)には民友社で平田久『カーライル』が、丸善で石田羊一郎ほか訳『英雄崇拝論』が出版され、同書は詩人・土井晩翠訳が、春陽堂より明治31年(1898年)に刊行している。 実学として歴史を考えた愛山には、「古は猶今の如く、今は猶古の如く、人生は同じ法則に因りて動き、國は同じ運命を循環して盛衰する」という信念があった。従って歴史上の偉人は模範としての個人であって、時代をもっともよく表現し、ヘーゲルの絶対精神のような存在であった。 愛山の史論は、荻生徂徠の『政談』を経て、マキャヴェッリの『ディスコルシ』のような政論とも比べられる。史実に関する博学・考証より、歴史人物のうちに生動する時代の本質への洞察を尊ぶ。時代への感情移入と、政論家としての国家独立への志が、徳富蘇峰をして「もし君の勝ち場を求めば、史論に如くはなし」といわせた叙述となった。 思想・政治は、愛山にとって「密着して離れざるもの」であり、歴史をそうした全体として考え、経済社会の背景にも特に関心を払っていた。明治42年(1909年)『太陽』に掲載された「日本現代の史学及び史家」のなかで、歴史を経済の観点から見る新しい傾向に期待を寄せ、「此の如き研究方法は即ち新しき目を以て過去を読むものにして、将来の史学はおそらくは此の傾向に依りて新時期を作るに至らんか」と言っている。
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