効果・評価と活用・配置の現状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/28 09:04 UTC 版)
「スクールカウンセラー」の記事における「効果・評価と活用・配置の現状」の解説
スクールカウンセラー導入後の効果・評価、およびスクールカウンセラー活用・配置の状況について、中央省庁は様々な調査を行っている。例えば、2005年度に文部科学省が取りまとめた「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によると、「不登校児童生徒への指導の結果、登校するようになった児童生徒に特に効果があった学校の措置」の中で、学校内での指導の改善工夫として「スクールカウンセラー等が専門的に指導にあたった」と回答した学校が最も多く、不登校対応への効果が報告された。「不登校児童生徒が相談,指導,治療を受けた機関等」の回答においても、「スクールカウンセラー等による専門的な相談」が最も多く、普段通学している各学校にて無料で相談できる点など病院や児童相談所よりも身近な専門家としてスクールカウンセラーが位置づけられていた。また、「暴力行為発生件数」「不登校児童生徒数」「いじめ発生件数」のいずれにおいても、スクールカウンセラーを2年以上継続的に配置した学校は全国平均よりも発生状況が低く、中長期継続的な関わりによる予防的効果が報告された。これらの構成比は、2010年度発表の同調査においても同様の集計結果となっており、スクールカウンセラー導入後の追跡調査によって効果の定着が報告されている。 一方、2004年度に財務省が発行した「総括調査票」によると、「臨床心理士」「精神科医」「大学教員」を資格要件とする「(正規の)スクールカウンセラー」と、主に精神科医以外の医師や臨床心理士資格取得見込者(専門職大学院などの臨床心理士指定大学院修了者)を資格要件とする「スクールカウンセラーに準ずる者(準スクールカウンセラー)」の比較について、「問題行動件数」のみに限定して着目し、「(正規の)スクールカウンセラー」を配置した場合は全国平均よりも発生状況が低いことを改めて報告した上で、「スクールカウンセラーに準ずる者(準スクールカウンセラー)」も併用して配置した場合にはさらに発生状況が低い自治体の例があると指摘している。また、2010年度の同調査票の中では、配置している者が「(正規の)スクールカウンセラー」であるのか「スクールカウンセラーに準ずる者(準スクールカウンセラー)」であるのかを配置先の当該校側へ明確に知らせていない自治体が約4割に上ることを指摘し、それと関連して「スクールカウンセラーに準ずる者(準スクールカウンセラー)」でも「(正規の)スクールカウンセラー」と同等の活動ができると思っている自治体が約6割あったとも報告しており、「(正規の)スクールカウンセラー」と「スクールカウンセラーに準ずる者(準スクールカウンセラー)」の区別の明確な周知とともに積極的な活用を提案している。 このように、スクールカウンセラーの活用・配置によって認められた相応の効果に対する評価や、そのための大前提とされている「第三者性・外部性の確保」の重要視は両省ともに共通するところであるが、現場の各教育機関を所管する立場の文部科学省は、倫理的観点からもより専門性の高い「(正規の)スクールカウンセラー」の活用を基本と掲げているのに対し、予算を管轄する立場の財務省は、より人件費の安い「スクールカウンセラーに準ずる者(準スクールカウンセラー)」の併用も提案しており、省としての立場や理念の違いから、両省が打ち出す方針・見解には相違が見られる部分がある。 他方、スクールカウンセラーについての調査の中でも、教育相談や生徒指導をより充実させるために行われた全国規模の現場調査に「教育相談等に関するアンケート」がある。同アンケート調査は2006年度〜2007年度にかけて実施・取りまとめられたもので、全国62の都道府県・政令指定都市における小学校、中学校、高等学校、教育委員会(大学は独自採用のため)を対象とし、スクールカウンセラー導入後の効果・評価、およびスクールカウンセラー活用・配置の状況から今後の要望に至るまでの回答を募るなど、スクールカウンセラーに関する現状や現場ニーズの包括的な把握・考察を試みた、全国規模の施策参考用アンケート調査である。ついては、下記に同アンケート調査の各設問における回答と構成比をまとめ、それぞれを表に示す。
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