制限の対象
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/18 03:19 UTC 版)
当用漢字の字種を指定した1946年(昭和21年)の告示には、当用漢字表を告示することの意図などが説明されている。 「まえがき」では、当用漢字は、法令、公文書、新聞、雑誌および一般社会を対象に、漢字制限のめやすとして選んだものとしている。 使用上の注意として、この当用漢字で書けない場合には、別の言葉にかえるか、かな書きにするとされた。 専門用語については当用漢字を基準として「整理」することが望ましいとした。これには、当用漢字に含まれない漢字の使用を即刻中止し、平仮名で表記せよという強硬な指示ではなく、専門家の判断を尊重するという含みがある。同時に、専門的な業務や研究においても基本的には当用漢字の範囲でのみ漢字を使用すべきであることを示唆している。なお、日本国憲法で使用される漢字はすべて当用漢字表に採用された。 固有名詞については「まえがき」に「法規上その他に関係するところが多いので、別に考えることとした」とある。例えば地名や人の姓については当用漢字に含まれないものが多くあるが、それは問題とされない。ただし土地区画整理事業・町名変更・出生などで新たに地名・人名を付ける場合は当用漢字に縛られることになる。人の名については、1947年(昭和22年)の改正戸籍法により、子の名に常用平易な文字を用いることとされ、戸籍法施行規則第60条で漢字は当用漢字の範囲に限られることとなった。 ほかに動物や植物の名称、中国を除く外国の地名、外来語などは、かな書きするとした。 字体および音訓(音読み・訓読み)については調査中であるとした。これらについては後に当用漢字音訓表(1948年〈昭和23年〉2月16日)、当用漢字字体表(1949年〈昭和24年〉4月28日)として告示された。 当用漢字別表(1948年〈昭和23年〉2月16日)は、義務教育の期間に読み書きともにできるように指導することが必要であるとされた漢字を定める。 当用漢字以外の漢字(表外字)を含む語について、同音の当用漢字に書きかえた代用字と代用語が使われるようになり、一部に混乱も見られた。これを受け、『同音の漢字による書きかえ(1956年〈昭和31年〉7月5日国語審議会報告)』が示された。『同音の漢字による書きかえ』は、常用漢字表告示後も公文書をはじめとした用字の指針となっている。
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