制作・販売・組織
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 18:47 UTC 版)
アダルトゲームの制作・販売を手掛けるメーカー・プロダクションは、2014年4月現在201社がコンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)に正会員として加盟している。また、コンテンツ・ソフト協同組合に加盟し、映像倫理機構で審査を受けているメーカーも存在する。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}メーカーによっては複数のブランドを保有し同時並行的に運用していることを考えれば、およそ600から700ものブランドが活動していると推定される[独自研究?]。ビジュアルアーツやテイジイエル企画のパートナーブランドのようにゲームソフト卸や一部のゲーム会社が自社の傘下に入ることを条件に開発資金を援助するシステムが広く確立されており、新規参入に際しては比較的容易で毎年数十のブランドが新たに登場するが、その一方でそれに近い数のブランドが消滅してゆく。また、実態として解散状態か活動停止状態であるにもかかわらず公式サイトだけが長期間放置されたまま残されているブランドも少なくない。 アダルトゲームの制作メーカーは規模の大小こそあれ、家庭用ゲームの制作メーカーと比較すればおおむね小規模で、商法上の区分でいえばメジャータイトルを制作するメーカーでも中小企業、大半は従業員10人未満の零細企業で、ごく小規模な有限会社や合同会社もこの業界では珍しくはない。アダルトゲームの制作・販売を主業としている会社を見た場合、社屋を自社所有するものはほんの数社程度であり、マンションやアパートの一室を住居兼仕事場にして、そこが唯一の拠点というケースも多い。労働条件については中小のコンシューマゲーム制作会社同様に、ごく一部の例外を除きほぼ一様に劣悪で、福利厚生面も脆弱であると言われている。 開発チーム名や法人名とは異なるブランド名を用意してこちらを前面に出している者も数多く存在し、目に見えて判別できる原画などの一部スタッフ以外の詳細について実質的に非公開になっているタイトルも多い。また、審査機関に非加盟の個人商店や同人サークルなどの小プロダクションや、アダルトゲームの発売に本来の開発チーム・ブランド名が出ると差し障りが出るため名前を伏せたいと考えるコンシューマ機用ソフトの開発を本業とするチームもあり、そのような者たちが自身のスタッフ・機材でアダルトゲーム本体のデータを制作・完成させ、アダルトゲームブランドを持つ販社が委託を請け負い、倫理機関審査や営業・広告宣伝・製品流通など販売代行を行うことも見られる。さらには、メディアのプレス・マニュアル制作・パッケージングなどゲームデータ以外のほとんどの部分を販社側がトータルに手掛けることもある。このように、アダルトゲームの販売委託ではいわば製造業におけるEMSとOEM供給先に近い役回りを担うだけで済ませるところから、制作スタッフが実際に手掛けるのはゲームのデータ本体だけで、審査からゲームソフトとしてのトータルのパッケージングまで全て販社側で用意・制作するところまで、制作から販売に至る課程はタイトルやブランド毎に様々で、アダルトゲーム側のブランドを見た場合、そのような審査代行・販売代行・プロデュースが実質の本業となっているものもある。 狭隘な市場に小規模多数の制作会社・開発チームが存在するため売り上げ規模も小さく、アダルトゲームだけで経営を維持することは難しく、多くの制作メーカーは資金繰りのため、他にも様々なことを行っている。例えば、自ブランドの製品開発スケジュールの間合いを利用してプログラマーなどが他ブランドの製品開発の一部を請け負うなどの行為は珍しくなく、他にも中小企業向けの業務用アプリケーションやウェブデザイン、携帯電話向けソフトの下請け製作、貸しビル業 など、別のビジネスを行っているメーカーも多い。 多くのアダルトゲームメーカーにとって通例として年末に定められた銀行からの融資の返済猶予期限は会社の存亡の懸かる日であり、作品の完成度に関係なく返済猶予期限内に新作を発売しないと会社が倒産・消滅する場合が少なくない。そのこともあってか、大手メーカーの非アダルトゲームではおおよそ考えられないような未完成品が発売されることもざらである。
※この「制作・販売・組織」の解説は、「アダルトゲーム」の解説の一部です。
「制作・販売・組織」を含む「アダルトゲーム」の記事については、「アダルトゲーム」の概要を参照ください。
- 制作・販売・組織のページへのリンク