分子生物学と生化学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/03 17:39 UTC 版)
詳細は「分子生物学の歴史」および「生化学の歴史」を参照 20世紀半ばまでに原理上物理と化学の統合は進み、化学的特性は原子の電子構造の産物として説明されるようになった。ライナス・ポーリングの著作 The Nature of the Chemical Bond (『化学結合の性質』)では、量子力学の原理を一層複雑な分子における結合角の推算に使用している。しかし、量子力学から援用した原理は、生物学的意味のある分子の定性的化学特性を予測することができても、20世紀末まで厳密なコンピュータ計算による定量的方法ではなく、規則性・観察・処方箋の集積と化している。 ジェームズ・ワトソンやフランシス・クリックらは、DNAの二重らせん構造に関する該当分野の化学の知識のほか、ロザリンド・フランクリンが得たX線回折像を情報源としてその制約の中でモデルを構築し、この発見的アプローチを援用し予測を立てて1953年に勝利を収めた。この発見により生命の生化学分野での研究が爆発的に増加した。同年、ユーリー-ミラーの実験が実施され、タンパク質の基本構成要素である単純なアミノ酸がより単純な分子から生成されうることを、地球表面の原始的プロセスの再現実験によって実証した。生命の起源の本質については多くの疑問が残るものの、これは化学者が管理下の実験室で仮想の反応を研究することに踏み出した第一歩となった。 1983年にキャリー・マリスはDNAの試験管内増幅法を創案した。これはポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) と呼ばれ、実験室でこれを操作する際に使う化学反応に革命が起こった。PCRはDNAの特定の部分を合成するために使われ、また生物のDNAの塩基配列決定を可能にして大規模なヒトゲノム計画をも完結させた。
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