スタンフォード哲学事典による下位分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 03:57 UTC 版)
「還元主義」の記事における「スタンフォード哲学事典による下位分類」の解説
スタンフォード哲学事典は専ら「生物学における還元主義」だけを項目として立てて記事にしているので本項とはいささかそぐわない点があるが、あえて紹介すると、そこでは還元主義を以下のように区別している。 存在論的還元主義:"生命体は、それを構成する分子とその相互作用によってのみ存在する"と見なす考え方。生物学における存在論的還元主義は物理主義とも呼ばれる。それはどのような考え方かと言うと、例えば"生物学的特性は物理的特性に付随している"と見なすような考え方である。弱い存在論的還元主義は、現在の生物学者と哲学者の基本的な立場である。 方法論的還元主義:"生物学的システムは最下層を調査することが有益だ"と見なす考え方で、"実験的な研究は分子およびバイオケミカル的な原因を対象とするべきだ"とする考え方。複雑な全体を分解してパーツを調べることで全体を理解しようとする一般的に用いられている科学的手法。全ての科学は物理学の用語で記述できる(または理想的にはそうされるべきだ)と見なす考え方は物理還元主義と呼ばれる。例えば"生物は分子生物学と生化学によってもっとも良く説明できる"と見なす考え方。この立場は常に論争の的である。 認識論的還元主義または概念的還元主義:"ある領域に関する科学的知識は(通常高い領域のそれは)、それより下位の(根源的な)レベルの科学的知識に還元できる"とする考え方。 この認識論的還元主義は理論の還元(ある理論が別の理論から導き出せる)と説明の還元(高位の機能が低位の機能によって説明できる)に分ける事ができる、と述べる人もいる。理論の還元:以下の条件を満たす限り、ある理論T1が別の理論T2に還元できると主張できると内井は言う。(1)T1の基本的な概念は、すべてT2の概念によって定義可能である (2)T1の基本的な法則の全てが、T2内部の理論によって導き出されたT2の法則に翻訳できる (3)T2の概念と法則はT1の物より基本的である。 この代表は熱力学と気体分子運動論の関係である、という。(ただし内井惣七は、これは「還元」ではなく「拡張」と呼ばれるべきであると述べている)。 説明の還元:理論の切り分け、理論の一般化、メカニズムや個々の事実の説明を含む。説明の還元は因果関係の説明であると仮定されている、という。高次の特徴はその構成部分の相互作用に基づいて説明される、とし、説明の還元は厳格な存在論的還元を必要としない、とされる。生命科学ではメカニズムアプローチとして現在、理論還元主義に代わる強靱な立場に発展した。
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