冬期対策設備
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 19:31 UTC 版)
北海道新幹線の経由する青森県と北海道は日本でも有数の寒冷・豪雪地帯であり、冬季においても安定輸送を維持するための対策が施されている。北海道新幹線の開業にあたっては、これまでにない厳しい条件を新幹線が走行するため、2冬をかけて車両への着雪状況の調査や地上設備の試験が行われた。 最も雪の多い新青森駅付近では、東北新幹線の青森県区間と同じスプリンクラーによる散水消雪方式が採用されている。 新青森以北の地域では冬季の平均気温が-1 ℃を下回るため、消雪のために散水した水が凍結する恐れがある。そのため、高架橋の軌道下の路盤コンクリートを高くし、線路の両脇に雪を貯める貯雪式高架橋を採用している。比較的降雪量の多い青森県側では、高架橋内の降雪を減らすための雪覆いを設けた半雪覆式貯雪型高架橋が採用されている。新幹線列車の共用走行を想定して建設された海峡線との共用区間や一部の新設区間など、人家が少なく騒音の問題のない個所では、軌道面以外に開口部を設けて雪を高架橋の下に落とす開床式高架橋が採用されている。北海道側では通常の貯雪式高架橋が採用されている。 氷塊や雪の介在による分岐器不転換を防止する対策として、電気融雪器を設置することを基本としており、加えてJR北海道の在来線で実績のある分岐器融雪ピットと圧縮空気の噴射で氷雪を除去するエアジェットを設置する。海峡線との共用走行区間の三線分岐器の箇所については、電気融雪器とエアジェットに加え、スノーシェルターを整備した。軌道上の除雪を行う除雪用機械(モーターカー)については、9両の導入を予定しており、これまでの新幹線用と基本的には変わらないが、共用走行区間の三線軌道を除雪する際には、三線軌道に合わせた形状の鉄板(フランジャー)を下ろして除雪を行う。 エアジェットについては、開業時となる2016年3月には作動に伴う騒音の問題が表面化し、防音対策を担当する鉄道建設・運輸施設整備支援機構と北斗市との間で協議が進められているが、平行線をたどる状態となっている。また、騒音問題に伴って、エアジェット設置箇所周辺には発生音に関する注意喚起標識が設置されている。 車両に着雪した雪は落下することで設備の破損などを引き起こすがある。下り列車については、新函館北斗駅到着後の全ての列車が函館新幹線総合車両所に入区し、融雪作業を受けている。また、上り列車については、新青森以南に乗りれる列車に対して、着雪状況に応じて新青森駅で人力による雪落とし作業を行っている。
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