内部海の存在
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土星探査機カッシーニの観測で得られたデータから、ディオネは内部海を持っている可能性があることが示唆されている。これは軌道共鳴の相手であるエンケラドゥスと同じ状況である。表面に発見されている Janiculum Dorsa という地形は、内部に海が存在すると考えると説明することができる。この地形は高さが 1〜2 km あり、ディオネの地殻はその下 0.5 km ほどまで広がっているように思われる。このことは、Janiculum Dorsa が形成された段階では氷地殻は暖かかったことを示唆しており、これは衛星の潮汐変形を大きくする地下の液体の海が存在するためであると考えられる。 衛星の形状と重力のデータを元にすると、全球的に広がる液体の水の内部海は厚さ 65 ± 30 km で、その上に 99 ± 23 km の厚さの氷の地殻が存在していると予測される。 内部海があると見られるディオネとエンケラドゥスはどちらも静水圧平衡の形状をしておらず、平衡からのずれはアイソスタシーによって維持されている。ディオネの氷地殻の厚みのばらつきは 5% 未満だと考えられており、最も薄いのは氷地殻への潮汐加熱が最大になる両極付近である。
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内部海の存在
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「エンケラドゥス (衛星)」の記事における「内部海の存在」の解説
エンケラドゥスの地下に液体の水が存在するという兆候は、2005年以降多数報告されている。最初に報告されたのは南極からの水蒸気を含んだ噴出物の観測であり、毎秒 250 kg の水蒸気が最大で時速 2,189 km で宇宙空間に噴出している様子が捉えられた。その後すぐに、エンケラドゥスの噴出物がE環の起源であることが明らかになった。噴出物中に検出されている塩化物は Tiger Stripes に沿って一様に分布している一方で、「新鮮な」粒子は高速のガスのジェットと密接に関係している。塩化物の粒子は重く、大部分は表面に落下して戻るのに対し、高速な「新鮮な」粒子はエンケラドゥスの重力を脱出してE環を構成する物質となる。そのため、E環の物質に塩化物が少ない理由が説明できる。噴出物に塩化物が多く含まれることから、これらの起源はエンケラドゥスの内部海であることが示唆される。さらにカッシーニは、ベンゼンのような有機物だけではなく、有機化合物の痕跡をダスト粒子から検出している。また、分子量が200程度の複雑な有機化合物も検出されている。 カッシーニが2010年12月に行ったエンケラドゥスのフライバイの際には重力場の測定が行われ、凍った表面の下には液体の水が存在する可能性があることが判明した。しかしこの時の観測では、内部海は南極領域に局在していると考えられた。内部海の上部はおそらくは分厚い氷の層の下 30〜40 km に存在すると推定され、南極での内部海の深さは 10 km と推測された。 さらに2015年9月16日には、7年以上に渡るカッシーニによる観測の結果、エンケラドゥス表面の氷の下に広がる海が星全体を覆っているという研究結果がNASAによって発表された。研究者によると、土星を周回することで起こるほんの小さな振動(秤動)が観測され、氷の地殻全体が内部の岩石コアとは分離して存在していることが示唆された。従って、氷の下に液体の海が星全体に広がっていることでしか説明できないとしている。秤動の大きさは 0.120° ± 0.014° であり、この大きさから全球的な内部海の深さは 26〜31 km であることが示唆されている。これは地球の平均の海洋深さである 3.7 km よりも深い。
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