内部海
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 01:48 UTC 版)
1970年代にNASAの科学者が初めて、氷の層の間に厚い海が存在する可能性を指摘した。彼らは、表面付近の氷の層と、岩石マントルの上の氷の層の間に、液体の海の層が存在していると考えた。1990年代にNASAの探査機ガリレオがガニメデをフライバイし、内部海が存在することを明らかにした。2014年に発表された解析では水と塩分の効果を含めた現実的な熱力学を考慮し、ガニメデは氷の結晶の異なる相によって分割された複数の海の層を持つ可能性が示唆された。このモデルの中では、最も下にある液体の水の層は岩石マントルに隣接しているとされた。水と岩石の接触は、生命の起源にとって重要な要素である可能性がある。この解析では、推定される海の深さは岩石の「海底」までおよそ 800 km と非常に深く、対流する断熱的な海の底の温度は、氷と水の境界層での温度よりも 40 K 高いと推定された。 2015年3月にはハッブル宇宙望遠鏡を用いた観測で、ガニメデの表面をオーロラがどう動くかを観測することによって内部海の存在が示唆された。大きな海水の海はガニメデの磁場に影響を及ぼし、その結果としてオーロラにも影響を及ぼす。ドイツ・ケルン大学の Joachim Saur のチームがガニメデを紫外線で観測したところ、オーロラの揺れが本来予測されるよりも小さいことがわかった。天体内部にある導電性の液体、おそらく塩水により二次的な磁場が発生し、これがオーロラの揺れを軽減していると考えられる。研究チームの推算によれば、厚さ 150 km のガニメデの表層の下に深さ 100 km の海があり、その水の量は地球の海よりも多いという。この観測から、ガニメデの海は太陽系の中でもっとも大規模なものであるという証拠が示唆された。 ガニメデの海での生命の居住可能性については、いくつかの推論がある。
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