元素の特徴をつくりだす電子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 08:33 UTC 版)
「周期表」の記事における「元素の特徴をつくりだす電子」の解説
主な元素の電子配置 電子殻(亜殻)K L M(3s+3p) M(3d) N(4S) K カリウム 2 8 8 0 1 Ca カルシウム 2 Sc スカンジウム 1 Ti チタン 2 V バナジウム 3 Cr クロム 5 1 Mn マンガン 2 Fe 鉄 6 Co コバルト 7 Ni ニッケル 8 Cu 銅 10 1 Zn 亜鉛 2 詳細は「周期律」および「電子配置」を参照 原子には陽子数(原子番号)と同じ数の電子があり、それが陽子核のまわりに電子殻と呼ばれる層を形成して存在すること。この殻は複数あり、電子は基本的に内側から順番に埋まってゆくこと。そして、最も外側にある電子(価電子)は化学反応などの変化においてやりとりがしやすく、その個数が元素の性質を決める要因だということが分かった。 ところが、単純に電子殻を内側から埋めてゆく法則は、アルゴン(原子番号18)までにしか当てはまらない。現在のところ電子殻が複数定められており、内側からK・L・M・N・O・P・Qと名称が続いてつけられている。それぞれには収まる電子の最大数が決まっており、K殻=2個、L=8、M=18、N=32、O=50である。さらにこれは、構成原理に基づくエネルギー準位によって電子が順に埋まる電子軌道(亜殻)に分けられる。K殻は2個の電子が入る1s軌道、L殻は2個の電子が入る2s軌道と6個の電子が入る2p軌道、以下、M殻(3s軌道=2個、3p軌道=6個、3d軌道=10個)、N殻(4s=2、4p=6、4d=10、4f=14)、O殻(5s=2、5p=6、5d=10、5f=14、…)、P殻(6s=2、6p=6、…)、Q殻(7s=2、…)となっている。このうち第4周期において、4s軌道は3d軌道よりも先に電子が満たされる傾向がある。そのためカリウム(同19)からニッケル(同28)まではM殻に空席がある状態でN殻の4s軌道に電子が配置され、これが最外殻として元素の性質を形作る。そして、周期表のへこんだ中央部にあるこの元素群は表の横方向で近似した傾向を備え、これらに該当する3–11族は遷移元素と呼ばれ、このような特性は第4周期以降の長周期と呼ばれる部分で現れる。未だ電子の存在が解明されていなかった時代、メンデレーエフはこの元素の一群をどう解釈すべきかで非常に頭を痛めたという。このような現象が起こる理由について、現在ではM殻内の電子同士が負電荷で反発するために起こると説明されている。
※この「元素の特徴をつくりだす電子」の解説は、「周期表」の解説の一部です。
「元素の特徴をつくりだす電子」を含む「周期表」の記事については、「周期表」の概要を参照ください。
- 元素の特徴をつくりだす電子のページへのリンク