体罰としての性器切断
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 05:03 UTC 版)
実際の切断を伴わずとも、脅しとして扱われるケースはしばしば見られる。これらには上記のような家系的・殺傷的な目的は通常含まれていないと考えるのが相当であるが、一方でそうした脅しや体罰を試みる背景にはサディズム的な性器切断としての心理が働いていると解釈できる。 正式に宮刑という去勢刑が存在した中国においても、権力者による私刑の例がある。唐の歴史書「旧唐書」によると、安禄山には12~13歳の契丹人の少年、李豬児が仕えていたが、彼は一筋縄ではいかぬ悪賢い子であったため、もとより短気であったと伝えられる安禄山は、ある日、立腹の余りに突然、李豬児の衣服を剥ぎ取り、その生殖器を切り落として完全去勢した。李豬児は大量出血で仮死状態となったが手当の結果一命をとりとめたため、以降宦官として用いられたという。なお、この一件とは関係無く李豬児は安禄山の稚児的存在として仕えていた記録があり、著しく巨体である安禄山の帯を締めるなど、世話係をしていたとも伝えられている。こうしたことから、あるいは私刑からは離れた性的サディズムにおけるものであった可能性も否定はできない。 一方、昭和20年代の日本でも、千葉市加曽利町(現・千葉市若葉区加曽利町)にあった「旭療護園」という精神薄弱児施設で、性的非行・犯罪を犯した10代後半の4人の男子入園者が、極秘裏に去勢された事件があり、それが判明してから大きな人権問題となった。 また、同じく千葉県船橋市の児童養護施設で起きた恩寵園事件ではマスターベーションなどに対する体罰の目的で男児2名が当時の園長によって性器の一部を切られるなどしている。 アフリカにおいて、姦通罪を犯した罪人が、クリトリスやその他の女性外性器を切除されるケースがあるが、それが私刑として行われるケースがある。 筒井康隆の短編小説『悪夢の真相』には、ハサミを持った怖い女がいるのでトイレに行けないという男の子が登場する。ことの真相は、彼がしばしばおねしょをするために母親が「おちんちんを切ってしまう」と脅したことに起因し、これにより彼の中で築き上げられた悪夢による幻影が正体であった。すなわち、その「怖い女の人」の持つハサミは、男の子の性器を切断するための道具であった。
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