たいさいぼう‐ぶんれつ〔タイサイバウ‐〕【体細胞分裂】
体細胞分裂
有糸分裂
体細胞分裂
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/14 20:41 UTC 版)
体細胞分裂(たいさいぼうぶんれつ)は、真核細胞が行う細胞分裂の様式のひとつ。1個の体細胞(多細胞生物を構成している細胞のうち生殖細胞以外の細胞の総称)が分裂して同じ遺伝情報を持つ2個の娘細胞を生み出す過程をいう。体細胞分裂のステージは、間期→前期→前中期→中期→後期→終期に分類される。前期から後期に起こる核分裂(en:mitosis)と後期終盤から終期に起こる細胞質分裂(en:cytokinesis)に分けられる。各ステージの詳細な機構については、現在でも研究が行われている。
体細胞分裂
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/27 09:21 UTC 版)
体細胞分裂の過程では、コヒーシンはS期に複製された染色体(姉妹染色分体)が直ちに離れないようつなぎ止める(接着)。M期(分裂期)にはいると、まず前期から前中期にかけての染色体凝縮と同期して、染色体腕部に局在する大部分のコヒーシンが解離する。この過程には、2つのコヒーシン結合タンパク質(WAPL と PDS5)に加え、2つのタンパク質キナーゼ(ポロとオーロラB)が関与している。コヒーシンの解離に伴って染色体腕部の接着が部分的に解除されるとともに、コンデンシンとII 型トポイソメラーゼが働くことにより、中期までには2本の姉妹染色分体が識別可能になる(この過程を染色分体の分割 [sister chromatid resolution] と呼ぶ)。この際セントロメア領域に局在するコヒーシンはシュゴシンの働きによって解離を免れ、セントロメアにおける強固な接着は中期まで保存される。後期にはいると、コヒーシンの制御サブユニットのひとつがセパレースと呼ばれるプロテアーゼによって切断され、染色分体の最終的かつ不可逆的な分離 (sister chromatid separation) が促進される。セパレースの活性化には、 APC/Cと呼ばれるユビキチンリガーゼが関与している。
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体細胞分裂
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/28 07:03 UTC 版)
複製が終わってから分裂期に入るまで、対になった姉妹染色分体をつなぎ止めておく過程を、姉妹染色分体の接着あるいはコヒージョン(sister chromatid cohesion)という。この過程は、G2期においては相同組換えによるDNA修復、また分裂期においては正確な染色体分離を支えるために重要な役割を担っている。 高等真核細胞では、体細胞分裂前期から前中期にかけての染色体凝縮に伴って染色分体間の接着は部分的に解除され、その結果2本の姉妹染色分体が光学顕微鏡下で識別可能となる(この過程を姉妹染色分体の分割 [sister chromatid resolution]と呼ぶ)。この際セントロメア付近の接着は解除を免れ、中期において染色体がスピンドルと2極性の結合をすることを保証する。後期に入ると接着が完全に解除され(姉妹染色分体の分離 [sister chromatid separation])、それぞれの染色分体が娘細胞に正確に分配される。接着過程の制御異常は、未成熟な染色分体の解離や染色体とスピンドルとの不完全な結合を引き起こし、染色体の分離の欠損へと発展する。こうした分離異常はゲノムの不安定性につながり、細胞のガン化の原因ともなりうる。
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体細胞分裂
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 00:33 UTC 版)
体細胞分裂の細胞周期において、コンデンシン I とコンデンシン II は異なる時空間制御を受けている。例えばヒト培養細胞では、コンデンシン II が細胞周期を通じて核内あるいは染色体上に局在するのに対し、コンデンシン I は間期では細胞質に存在する。このことから予想されるように、前期核内での染色体凝縮は主にコンデンシン II によって担われている(図3)。前中期にはいって核膜が崩壊すると、コンデンシン I は初めて染色体と接触することができるようになる。前中期以後の染色体凝縮には、2つのコンデンシンが必須である。こうした2つのコンデンシンの細胞内局在制御は、カエル卵抽出液を用いた再構成系やマウスの卵母細胞や神経幹細胞においても同様に観察されることから、生物種や細胞種を超えた普遍的な制御機構のひとつであるらしい。その生理学的意義については今後の解析を待たなくてはならないが、2つのコンデンシンの作用順序(まずコンデンシン II が働き始め、次にコンデンシン I が働く)を規定している可能性が指摘されている。 ヒトの中期染色体では、コンデンシン I とコンデンシン II は共に染色分体の中心軸上に局在するが、その分布は重複しないように見える(図4)。生細胞内における発現抑制実験やカエル卵抽出液中での免疫除去実験によると、2つのコンデンシンは独自の機能をもちながらも協調して中期染色体の構築に貢献していることが示されている。また、コンデンシンの機能に欠損が生じても細胞周期は特異的なステージで停止するわけではない。染色体構築に異常をもったまま後期に進入した細胞は、後期ブリッジ(anaphase bridge)と呼ばれる分離異常を顕在化しつつ、そのまま細胞質分離へと突入することが多い。 体細胞分裂における2つのコンデンシンの必須性は種によって異なる。マウス(Mus musculus)ではコンデンシン I と II のそれぞれが体細胞分裂に必須の役割を果たしている。両者は重複する機能を持つと共に、それぞれ独自の機能も有する。一方、原始紅藻やシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)はコンデンシン I と II の両方を有するにもかかわらず、コンデンシン II は必ずしも体細胞分裂に必須ではない。面白いことに、線虫の初期胚では両者の関係が逆転している。すなわち、コンデンシン II が主要な役割を果たしており、コンデンシン I はマイナーな貢献をするのみである。これはホロセントリック染色体という特殊な構造をとっているためかもしれない。また、出芽酵母や分裂酵母をはじめとする菌類はもともとコンデンシン II をもたない。こうした種間の違いは、染色体構築やゲノムサイズの進化を考える上で大きな示唆を与えてくれるものである(「進化的考察」の項参照)。 -マウスショウジョウバエ線虫出芽酵母分裂酵母シロイヌナズナ原始紅藻ゲノムサイズ ~2,500 Mb 140 Mb 100 Mb 12 Mb 14 Mb 125 Mb 16 Mb コンデンシン I必須 必須 マイナー 必須 必須 必須 必須 コンデンシン II必須 必須でない 必須 - - 必須でない 必須でない 最近では、細胞周期における染色体の構造変換が Hi-C (High-throughput chromosome conformation capture) の手法を通して解析されるようになっている。さらに、コンデンシンの欠損が分裂期の染色体構築に与える影響についても、出芽酵母、分裂酵母、ニワトリ(Gallus gallus)DT40細胞において相次いで報告されている。特に、DT40細胞の解析から得られた描像(まずコンデンシン II が大きなループを形成し、次にコンデンシン I がそれを分割するように小さなループを形成する)は、これまでの細胞生物学・生化学的手法から推測されていた描像とよく一致する。さらには、定量的画像解析から、ヒト細胞の分裂期染色体上に局在するコンデンシン I と II の数を推定する試みも報告されている。
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