体細胞核移植
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/14 10:21 UTC 版)
既にエピジェネティックな修飾を受けていた体細胞の核は、体細胞核移植(英語版)を受けると初期化(リプログラム)される。卵母細胞は、移植された細胞核の組織特異的な遺伝子をオフにし、胚特異的遺伝子をオンに戻す。このことにより、分化能力を失っていた細胞核を移植された卵母細胞からできた卵子を経由しても、新生物個体が発生できる。リプログラミングは、後天的なエピジェミック修飾を消去し、胚の全能性を得るために必要である。着床前の胚の体外操作で、刷り込まれた遺伝子座のメチル化パターンを中断させることが示されてきており、クローン動物作成において重要な役割を果たしている。 核移植技術による体細胞クローンの作成成功率は、動物種の違いに関係なく数%に過ぎない状態が続いた。また、多くのクローン動物では異常が観察されている。その異常はクローン動物の有性生殖で生まれた子では観察されないのに対して、クローン動物の体細胞から再びクローンを作成した場合に異常が増加していた。このことから、不完全なリプログラミングがそれら異常の一因と考えられている。 その後、胚性幹細胞(ES細胞)作成の技術が開発されたことにより、核移植技術を併用した核移植ES細胞(ntES細胞)を経由したクローン動物作成も行われている。
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