体細胞からの人工多能性幹細胞(iPS細胞)の樹立
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「胚性幹細胞」の記事における「体細胞からの人工多能性幹細胞(iPS細胞)の樹立」の解説
2006年8月10日、京都大学再生医科学研究所の山中伸弥らは、マウスの胚性線維芽細胞に4つの因子 (Oct3/4 ,Sox2, c-Myc, Klf4) を導入することでES細胞のように分化多能性を持つ人工多能性幹細胞(iPS細胞; induced pluripotent stem cells)が樹立できることを科学雑誌セルで発表した。 2007年11月20日、山中らのチームはさらに研究を進め、ヒトの大人の細胞に4種類の遺伝子 (OCT3/4, SOX2, C-MYC, KLF4) を導入することで、ES細胞に似た人工多能性幹(iPS)細胞を作製する技術を開発、論文としてセル誌で発表し、世界的な注目を集めた。また同日、世界で初めてES細胞を作製したことで知られるウィスコンシン大学のジェームズ・トムソン(英語版)らのグループもヒトの胎児の細胞に4種類の遺伝子 (OCT3/4, SOX2, NANOG, LIN28) を導入する方法でiPS細胞を作製する論文を発表した。 この2チームはそれぞれ個別に研究していたが、奇しくも同様の研究成果を同じ日に発表するに至った。この2チームの研究成果は、大まかな細胞の作製方法こそ似ているが、導入した遺伝子が一部異なっている。 ES細胞の作製時における倫理的問題や拒絶反応の問題を一挙に解決できるため、ES細胞に代わる細胞として大きな注目と期待を集めているが、iPS細胞の研究はES細胞の研究と密接に関連しており、ES細胞との比較研究が必須であるため、今後もES細胞の研究は必要であると考えられる。
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