企業乗っ取り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 05:20 UTC 版)
渡米するなり家族達の危惧は当たっている事が明らかになった。ヨシムラのアメリカ工場は小規模であったが、生産体制を考慮すればそれで十分なものであったにもかかわらず、デール、スター両名は吉村に断りなく社屋から数100メートルのところに新たな設備の増築を行っていた。支払いを迫るも設備投資を理由に拒否、それだけでなく在庫の所有権も主張し、吉村の要求を退けた。吉村は製品の品質がものをいう世界で部品供給が止まればヨシムラレーシングは有名無実のものになると考え、国内からの製品発送を止めるべく日本の関連企業への連絡に奔走した。デール、スター両名は信用状を根拠に納品を迫るも、多くの企業は吉村に味方した。解決のめどが立たないまま時間だけが経過するにつれ、相手方から第三者の介入が提案された。その男はトランス・ワールド航空のパイロットを務める、ヨシムラレーシングの常連のアメリカ人男性であった。吉村は相手にとって都合の良い人選であるのではないかと警戒していたが、この男性は双方の意見を聞くと吉村の主張が正しいと答えた。しかし、当初第三者の介入による解決を要求していたデール、スター両名は突如第三者の代表権は無効だと主張しだし、最終的に裁判で争うことになった。解決の正当性を問う裁判は半年続き、裁判費用として20,000ドルを既に費やしていた。だが、結局第三者の代表権は無効であり、これまで通り会社の所有権は50対50という判決が言い渡された。吉村は判決に対してヨシムラレーシングの再起を断念し、すべての権利を放棄せざるをえないと結論付けた。そして、不二雄をアメリカで新たな企業設立の準備にあたらせ、無念の帰路に着いた。
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