代数・幾何とは? わかりやすく解説

代数・幾何

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/15 05:35 UTC 版)

数学 (教科) > 代数・幾何

代数・幾何(だいすう・きか)は、1982年から施行された高等学校学習指導要領において、ベクトル及び行列について理解させ、それらを活用する能力を養うとともに、図形について座標やベクトルを用いて考察する能力を伸ばし、二次曲線空間図形についての理解を深めることを目的とした数学の科目の一つである。大学の初年次で履修する線形代数の高校生版という雰囲気であった[1]。1994年度から施行された学習指導要領に伴い、廃止された。学習指導要領に示された内容は次のとおりである。

目標

ベクトル及び行列について理解させ、それらを活用する能力を養う。また、図形について座標やベクトルを用いて考察する能力を伸ばし、二次曲線や空間図形についての理解を深める[2]

内容

(1) 二次曲線[3]

放物線
だ円双曲線

(2) 平面上のベクトル[4]

ア ベクトルとその演算
イ ベクトルの内積
ウ ベクトルの応用

(3) 行列

ア 行列とその演算
逆行列
一次変換写像

[用語・記号] A-1

(4) 空間図形[5]

ア 空間における直線平面
イ 空間座標
ウ 空間におけるベクトル

内容の取扱い

  1.  内容の1.については,二次曲線の標準形の方程式について,グラフの概形や焦点を取り扱う程度とする.
  2.  内容の3.のアの行列の乗法については,2x2行列までを取り扱うものとする.
  3.  内容の4.のアについては,平行垂直などの位置関係を中心に,三垂線の定理を導く程度の内容を取り扱うものとする.

現行課程との関連性

1994年から施行された課程では大体において「数学B」と「数学C」に相当する。ベクトルでは平面の方程式は扱われなかった。行列は「数学C」において、3次元まで扱われるが連立方程式の扱いにとどまり一次変換は扱われなかった。 2003年度から施行された課程では大体において「数学B」と「数学C」に相当する。ベクトルは「数学B」、二次曲線と行列は「数学C」である。ただし、空間における直線・平面・球の方程式は発展的な内容として扱われている。この課程では一次変換が部分的に復活した。2012年度から施行された課程では数学Cは廃止され、1971年頃から高等学校で指導されていた行列という単元そのものが消えた。行列の内容は部分的に新設された数学活用に移行し、理数科向けの科目「理数数学探究」には行列という単元が残ったが、実際には殆ど扱われなかった。2022年から施行の現行課程では数学Cが復活し、ベクトル・複素数平面・二次曲線・数学的な表現の工夫を扱うことになった。行列はこの「数学的な表現の工夫」の主要単元として復活したが、内容は逆行列までの基本演算程度と非常に薄くなっている。その代わり、今回の改訂で高校数学に初登場した離散グラフと行列の関連(隣接行列)が盛り込まれた。また、学習指導要領の数学Cの項には『生徒の特性等によって、本科目の「数学的な表現の工夫」の行列とベクトルを関連させて取り扱うことも考えられる。』との記述があり、学校によっては2003年度課程と同程度の内容を扱う可能性もある。

脚注

  1. ^ 森毅,『線型代数―生態と意味』,日本評論社,1980年
  2. ^ 文部省発表 高等学校学習指導要領 昭和53年(1978)改訂版 学校教育法施行規則 第4章 高等学校 第2章 各教科 第3節 数学 - 学習指導要領データベース
  3. ^ 前課程では数学Iの「平面図形と式」で簡単に扱われた程度であり、実質本科目からの追加内容であった。
  4. ^ 直線、方程式など。
  5. ^ 直線、平面及びの方程式を含む。

関連項目


代数幾何学

(代数・幾何 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/05 19:58 UTC 版)

代数幾何学(だいすうきかがく、: algebraic geometry)とは、多項式零点(解の集合)がなす図形の代数的手法(代数多様体)による研究する数学の一分野である[1][2]

歴史

ルネ・デカルトは多項式の零点を曲線として幾何学的に扱う発想を生みだし、解析幾何学が誕生した。解析幾何学における「解析」は当時の用法では代数の意味であり、代数幾何学の直接的な前身といえ[3]

19世紀中期に、ベルンハルト・リーマンがアーベル関数論の中で双有理同値など代数幾何学の中心概念を生み出し、19世紀後半には、イタリアの直観的な代数幾何学が発展した(イタリア学派)。20世紀前半には、アンドレ・ヴェイユオスカー・ザリスキによって、抽象的な代数幾何学の研究が進められ、1950年代以降はグロタンディークのスキーム論によって代数幾何学全体が大きく書き直された。

1970年代には小平次元ホッジ理論,トーリック多様体、極小モデルの理論などが整備された[4]

現代では数理物理学[5][6]可積分系[7][8][9][10][11]との関係や、機械学習への応用が研究されている[12][13]

大別して、現代の代数幾何学は「多変数代数函数体に関する幾何学論」と「射影空間上での複素多様体論」とに分けられる。前者は代数学の中の可換環論と関係が深く、後者は幾何学の中の多様体論と関係が深い。代数幾何学は20世紀に入って外観を一新し、大きく発展した数学の分野といわれる。

代数多様体

多項式の零点

二次曲線円錐曲線)の例。

永田雅宜は、代数幾何学を簡単に言えば「連立方程式の解の集合の幾何学的性質を調べる学問」であると述べている[1]

平面空間に座標を導入すると代数方程式は図形の形で表現される[14]。このような図形が代数多様体である。

例えば、

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代数幾何

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 02:45 UTC 版)

整域」の記事における「代数幾何」の解説

詳細は「代数幾何学」を参照 代数幾何学において整域既約代数多様体対応する既約代数多様体は、零イデアルによって与えられる唯一つの生成点 (generic point) を持つ。整域簡約かつ既約な環としても特徴付けられる前者条件はその環の冪零元根基 (nilradical) がであることを保証するもので、それ故その環の極小素イデアルすべての交わりとなることが出る。後者条件はこの環の極小素イデアルがただ一つであることを保証するのである。これらのことから、簡約かつ既約な環の極小素イデアル零イデアルただ一つということになり、これが整域であることを得る。逆は明らかで、任意の整域冪零元持たないから、零イデアル唯一の極小素イデアルになる。

※この「代数幾何」の解説は、「整域」の解説の一部です。
「代数幾何」を含む「整域」の記事については、「整域」の概要を参照ください。

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