かいにゅう‐けんきゅう〔カイニフケンキウ〕【介入研究】
介入研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 15:53 UTC 版)
研究を目的として実験的に治療などの介入を行う。介入を行うので、ひとの個体差、背景因子の差異に左右されない結果が得られることが期待されるが、倫理面、費用面から、大きいサンプルサイズを用いたり、長期間かかって発症する疾患を対象にすることは難しい。とくに、新しい治療法の有効性、安全性の評価を主目的とする研究によく用いられる。 前後比較研究(before-after study) 個人または集団を対象に介入前・介入後の2回以上の観察を行って比較する。観察者の主観を排することが難しく、治療効果の判定にはほとんど用いられない。クロスオーバー試験やN-of-1試験などランダム化を加えた手法に取って代わられつつある。 クロスオーバー試験・N-of-1試験 N-of-1試験では、複数の治療法、または実験的治療と偽薬とを、個人ごとにランダムな順序で行い、その治療効果を観察する。クロスオーバー試験では患者をグループに分けて、一群ではA→B、他群ではB→Aの順に介入を加える。各介入の間には治療効果が消失するのを待つための期間(wash-out period)が設けられる。 多くの参加者数を見込めない試験では有用であるが、治療の効果が見られるまでに時間がかかったり、その効果が長期間つづく(carryover)場合には用いられない。 ランダム化比較試験(randomized controlled trial) 治療効果について検討する場合には、現在最もその有効性が広く認められている。 集団をランダムに複数の群に割り付け、一方には実験的介入を、他方には偽薬(もしくは既存の治療法)を行ってから一定期間観察し、治療効果や有害作用の有無を観察する。 さらに厳密には二重盲検法(double blind)が取られる。「参加者がどちらの群に属しているのか」を明らかにせず、治療者・治験参加者・観察者・統計解析者の四者のうち、少なくとも二者以上からは分からないようにする(外科手術では盲検が難しいためしばしば一者以上で十分とされる)。医師側の「この人は対照薬だから症状が改善しないはずだ」といった思いこみや、患者側の「この薬は本物のはずだから症状が良くなるはずだ」といった思いこみ(プラセボ効果)によるバイアス(偏り)の排除がその主目的である。 二重盲検法がとられていることはその臨床試験が全体として優れていることを保証するものではなく、研究の一側面としてバイアス対策が行なわれていることを意味している。 ランダム化比較試験は非常に強力な研究デザインであるが、得られた結果はあくまでもその研究対象者の中でだけ正しい結論であるため、サンプリングバイアスの影響まで排除できるものではなく、結果の外的妥当性に関しては慎重に判断する必要がある。
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