人種分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 13:08 UTC 版)
アパルトヘイトでは法律で人種を次の4通りに分けた。実際の人種とアパルトヘイトの指す人種とはやや違いがあり、例えば先住民であるコイコイ人や、アジア人であるマレー人のうち、その大多数を占め、古くからケープに住むケープマレーは、人種とは関係なくカラードの扱いを受けた。また、政府の人口統計においては白人は1民族として扱われ、黒人は各民族ごとに集計されたため、白人が最大民族として公表される仕組みとなっていた。 白人(1980年に470万人、人口の15%。イギリス系住民と、アフリカーナー(オランダ系を中心とするアフリカーンス語を話す住民)。比率はアフリカーナー60%、イギリス系40%である。白人間でも出自によって区別があった) アジア人(1980年に90万人、人口の3%。大部分が印僑で、事実上の中間支配層として扱われた。ナタール州付近に集住していた)アジアにおいて唯一の先進国である日本人は1961年以降、経済上の都合から名誉白人扱いとされていた。ただし、白人専用のホテル・レストランなどの使用が認められたに過ぎず、基本的に一時滞在者としての扱いに限られ、永住権や不動産取得などは認められなかった。また、日本人が白人と性交渉をおこなった場合は背徳法が適用された。日本は1980年代後半から最大の貿易相手国になる。また、国際的に孤立していた南アフリカと、反共主義という共通点から数少ない国交を持っていた中華民国の台湾人も、名誉白人扱いであった。台湾人については一時期、中華料理店を白人用に指定した際、中華料理店への入店に限って白人扱いとされたが、中華民国の経済発展を受け名誉白人扱いになったとされる。また、イギリス領香港からの華僑と華人も名誉白人として扱われた。 カラード(1980年に280万人、人口の9%。白人と、サン人やコイコイ人など先住民族との混血を中心にした混成グループで、オランダやイギリスの植民地であったインドネシアやマレーから奴隷として連れられてきた住民との混血も含まれる。また、混血でないコイコイ人やケープマレーも含む。主な使用言語はアフリカーンス語。ケープタウン周辺に集住しており、ケープ州の最大民族であった) 黒人(1980年に2300万人、人口の73%。ズールー人、ソト人、コーサ人、ンデベレ人、ツワナ人など、バントゥー系民族) 最大勢力である黒人に対し、印僑やカラードといった人口規模が白人に及ばない人種は黒人に比べやや優遇され、白人・黒人間の緩衝地帯となると同時に白人による分断統治の対象となった。印僑やカラードには教育予算や医療施設も白人ほどではないが整備された。カラードの集住するケープ州においては、選挙権が剥奪される一方でカラードの優遇雇用法が施行され、とくに黒人流入の多くなった70年代後半以降にはカラードに経済的利益をもたらした。このため、民主化後初の選挙である1994年の選挙においてカラードは、大部分が国民党へ投票した。
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