事件に関する議論、分析
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 05:24 UTC 版)
「AKB48握手会傷害事件」の記事における「事件に関する議論、分析」の解説
事件を受けて、握手会における警備体制の件や、握手会の存続についてなどさまざまな点で議論を呼んだ。社会学者および批評家の濱野智史は、「この事件をめぐっては、マスメディア/ソーシャルメディアを問わず、大きな議論が巻き起こった」と述べている。 まず、握手会会場における警備体制に関して、インターネット上などにおいて不満の声が上がった。キングレコードは事件当日、マスコミ各社に向けて公式のコメントを発表しており、このコメントにおいて警備体制に関する説明があったのは、こうした不満があったことを受けてのものである。ジャーナリストの安倍宏行も、握手会における警備体制の甘さを指摘しており、「ランダムな荷物検査と、握手前に手のひらを広げさせての目視チェック、『剥がし』と呼ばれる握手時間を管理するスタッフ配置のみでは、こうした事件を防ぐことは難しいだろう」と記している。 握手会についても議論が起こった。一部からは握手会それ自体に対して厳しい目が向けられた。インターネット上では握手会について賛否が上がり、握手会を廃止すべきという意見も出た一方、安全対策の上で実施すべきという意見も出た。濱野智史は、「『AKB商法』の限界が来た」「アイドルの女の子を危険に晒すことになる握手会は廃止すべきだ」といった批判に対して「的外れだと言わざるをえない」と反論しており、「必要なことはセキュリティ対策の向上に尽きる」と記している。 この事件ではアイドルが被害者となっているが、複数の批評家によると、この事件はアイドル特有の事例ではなく有名人全体に関わる事例である。濱野智史は「切りつけたメンバーの名前は知らない」という犯人の供述から、この事件について「これまで何度も繰り返されてきた芸能人や著名人を狙った事件の一つに過ぎない」と指摘している。リアルサウンドのライターの北濱信哉も同様に、「AKBには興味がなかった」という犯人の供述から「アイドルとファンのトラブルというよりも、有名人をめぐるセキュリティ管理の問題と捉えたほうが適切であろう」と指摘している。アイドル専門ライターの岡島紳士もまた、リアルサウンドの記事において、犯人が「相手は誰でも良かった」と供述したことから「今回の事件はアイドルとファンの間に固有の事件というよりも、有名人すべてが持っている危険性を改めて知らしめた事件であるといえそうです」とコメントしている。 評論家の栗原裕一郎は、リアルサウンドの記事において、この事件を芸能人が襲撃された過去の事例と比較して分析している。栗原は本事件について「いかれた奴がアイドルを襲ったという現象だけを取り上げれてみれば、今回の事件もまたありふれた一件にすぎない」(原文ママ)とコメントしているが、本事件に特有の事情として「ありふれている一方で、現況のアイドル・ブームと、それを支えるビジネス・モデルを揺るがしかねない影響が危惧されるという、過去には例のない事態に広がってもいる」と指摘している。また栗原は、過去のいくつかの事例のうち、1984年に発生した、倉沢淳美がサイン会において男に突然ナイフで切りつけられたという事件が本事件に最も似ているという旨のコメントをしている。
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