予備調査から改修着工に至るまで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/02 11:04 UTC 版)
「旧加悦町役場庁舎」の記事における「予備調査から改修着工に至るまで」の解説
旧加悦町役場庁舎の歴史的かつ構造的、さらには意匠的な価値を損ねない改修と耐震補強の課題は山積していた。全国的にも稀な事業であり、進行は手探り状態であった。岐阜県の中津川市や岡山県の倉敷市への視察を行い、事業遂行のための組織づくりや進行方法を教わった。 2018年(平成30年)1月には、「旧加悦町役場庁舎耐震改修検討委員会」を立ち上げ、各分野の専門家である、14人の構成員により、建築史・意匠、耐震工学、建築構造・材料、木質科学などの英知を集めた。その後、同年3月には、3日間に及ぶ合同調査を実施し、延べ80人の大規模調査となった。同年7月にも40度近い猛暑日が続く中で、地震の振動数の違いによる建物の揺れやすさなどを1日がかりで計測するといった、3月に行われた調査と同規模の調査を行った。その他にも専門部会ごとの調査も行い、これらの調査で得られた情報を基に金沢工業大学での実物を用いた実験等、実験や検証、協議を重ねられた。 調査や協議を繰り返す中で予測を超えた発見があった。万一、経年によるモルタル壁強度の著しい低下や木材の広範囲に及ぶ腐朽が認められれば、公費や作業量が大きく跳ね上がる懸念があったが、建築当初の施工者の工夫により、最悪の事態を免れた。モルタルに珪藻土を混ぜ、柔らかさを加えたことでひび割れが少なく、一定の耐力を持つ効果につながったという。さらに内壁と外壁に設けられた空間に空気の流れが生じていたことにより、木材の腐朽も防いでいたという。 同年12月、耐震改修検討委員会からの提案をもとに、耐震補強・改修の方法を決定した。構造の安全性については、第3者機関の審査を受け、京都府建築審査会の審査を得たうえで、2019年(平成31年)2月、工事を進められる段階に至った。
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