世界初の電池
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/01 23:10 UTC 版)
「アレッサンドロ・ボルタ」の記事における「世界初の電池」の解説
電堆の発表に際して、ボルタはウィリアム・ニコルソン、ティベリウス・カバルロ、エイブラハム・ベネットの影響に敬意を表した。 ボルタのもう1つ発明として、拳銃の遠隔操作がある。彼はライデン瓶に蓄えた電気をコモからミラノまでの約50kmの距離で送り、ピストルを発射させた。導線で電流を送るために、木の板を使って地面から絶縁した。この発明は電信の考え方と同じであり、電気を使った通信のさきがけとなった。 ボルタが作った電池は世界初の化学電池とされている。亜鉛と銅の2種類の電極を使っていた。電解液には硫酸または塩化ナトリウムと水を混ぜた食塩水を使った。電解質は 2H+ と SO42- という形で存在している。亜鉛は電気化学列上で銅や水素よりも高い順位にあるため、負の電荷を持つ硫酸塩 (SO42-) と反応する。正の電荷を持つ水素イオン(陽子)は銅から電子をもらい、水素ガス H2 を発生する。このようにして亜鉛の電極が負、銅の電極が正となる。 2つの電極をつなげると、電流が流れる。このとき、次のような化学反応が起きる。 亜鉛 : Zn ⟶ Zn 2 + + 2 e − {\displaystyle {\ce {Zn -> Zn^2+ + 2e-}}} 硫酸 : 2 H + + 2 e − ⟶ H 2 {\displaystyle {\ce {2H+ + 2e^- -> H2}}} 銅は反応せず、単に回路を形成する電極として作用する。 この電池には欠点もある。たとえ薄くても硫酸は危険であり、扱いにくい。また、水素ガスが完全には放出されず、銅電極の表面に蓄積して電極と電解液の間の障壁を形成するため、電池の発生する電力は徐々に小さくなっていく。同じ原理の電池は例えばレモンに2種類の電極を刺すことでも実現でき、学校の理科の実験などでよく使われている。
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