世界の博物館
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/14 22:40 UTC 版)
ヨーロッパの博物館・美術館にはバロック期のヴンダーカンマー(驚異の部屋)に発祥するものが多い。ヴンダーカンマーとは、世界中の珍しい事物(異国の工芸品や一角鯨の角、珍しい貝殻、等々)を、種類や分野を問わず一部屋に集めたものである。ルネサンス期からバロック期にかけて王侯や富裕な市民は珍しい事物の収集に熱を入れた。この「珍しい」収集の中には貴重な絵画・彫刻も含まれた。教会以外の場で大規模な美術品の公開展示が行われたのはルネサンス期のフィレンツェである。メディチ家のコレクションが邸内の回廊(ガレリア)で行われた。祝祭日に王侯がコレクションを閲覧することはその後も各地で行われたが、通年公開されることはなかった。フランスでは王立絵画彫刻アカデミーがルーヴル宮殿の一室「サロン・カレ」で会員の作品の展示を行い(サロン・ド・パリの起源)、ディドロが書いたその批評はフランス内外で広く読まれた。 それまで博物館の閲覧は学者を含め富裕層に限定されてきたが、フランス革命を契機として、初めて一般に公開された常設の博物館として「国立自然史博物館」がパリに設置された。 アジアでは、1814年に英国統治下のインドのコルカタ(カルカッタ)で創立されたインド博物館が最も古く、明治維新後の日本でも各種の博物館が開設されるようになった。 1925年、ドイツ(当時はヴァイマル共和政)ミュンヘンにオープンしたドイツ博物館は、これまでの閲覧中心の展示から、体験型展示を全面的に導入し、現代の科学博物館の展示様式のさきがけとなった。一部の博物館、特にイタリアには、コレクションの性質や規模に応じて紹介、事前予約を要するものがある。 アメリカ合衆国では博物館の教育性、公共性が強調され、公開のものが多く、スミソニアン博物館のように定額の入場料を定めないところもある。またポール・アレンのような資産家が収集したコレクションを展示する「私設博物館」を運営することもあり、国立アメリカ・インディアン博物館のように私設から国立となる例もある。 ルーヴル美術館(フランス、パリ)の展示(古代ギリシアの陶器) 国立航空宇宙博物館(アメリカ、ワシントンD.C.)の展示 アメリカ自然史博物館(アメリカ、ニューヨーク)の展示 エジプト考古学博物館(エジプト、カイロ)の展示 故宮博物院(中国、北京市)の展示
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