ルノー・R31とは? わかりやすく解説

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ルノー・R31

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/13 15:15 UTC 版)

ルノー R31
カテゴリー F1
コンストラクター ルノー
デザイナー ジェームス・アリソン
先代 ルノー・R30
後継 ロータス・E20
主要諸元
エンジン ルノーRS27-2011
タイヤ ピレリ
主要成績
チーム ロータス・ルノーGP
ドライバー 9. ニック・ハイドフェルド
9. ブルーノ・セナ
10. ヴィタリー・ペトロフ
出走時期 2011年
通算獲得ポイント 73
初戦 2011年オーストラリアGP
最終戦 2011年ブラジルGP
出走優勝表彰台ポールFラップ
19020-
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ルノー・R31 (Renault R31) は、ロータス・ルノーGP2011年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カー。2011年の開幕戦から最終戦まで実戦投入された。

概要

グループ・ロータスの資本参入によりチーム名は「ロータス・ルノーGP」となり、カラーリングはチーム・ロータスの1970年代から1980年代にかけてのメインスポンサーであるJPSを彷彿させる、「黒色ボディに金文字」という配色になった[1]。コンストラクター名はルノーのままだが、チームは完全に独立しており、ルノーのF1エンジン部門(ルノースポールF1)からエンジンやKERSの供給を受ける形となった。

特徴

R31の唯一無二の特徴として、特異な前方排気システムが挙げられる。通常、フォーミュラ1カーではエギゾーストパイプの出口を車両後端に配置するものであるが、R31では、エンジンからの排気をエキゾーストパイプをシャシー中央まで引き出し、サイドポット前方から排出するよう設計されている[2]。高速で吐き出される排気を利用してアンダーフロアを通過する気流の速度を増すことで、ダウンフォースの増大を狙っていると考えられている[3][4]

ただし、このエギゾーストパイプ配置では、エンジンや燃料タンクなどが位置する部分(サイドポンツーン前端より後方)が高温の排気ガスにさらされる。そのため、この排気システムが他チームに広がることはなく、むしろ第5戦スペインGP予選と第11戦ハンガリーGP決勝でエギゾーストパイプのトラブルによってマシンが炎上している[5][6]

2011年シーズン

開幕前のバレンシア合同テストではロバート・クビサがトップタイムを記録して注目を集めた[7]。しかし、クビサはラリー参戦中に重傷を負って全戦欠場することになり、代役としてニック・ハイドフェルドが起用された。

開幕戦ではヴィタリー・ペトロフがロシア人初となる3位表彰台を獲得。第2戦でもハイドフェルドが3位となり、好調なスタートを切った。しかし、シーズン経過とともに中団グループに後退し、後半戦は入賞圏外で終えるレースが目立つようになった。第10戦ドイツGPのフリー走行では、ハイドフェルドのマシンから前方排気を取り外し、他チームが採用しているようなブロウンディフューザーをテストした[8](実戦には未投入)。成績不振が続く中、チームはハイドフェルドに替えてブルーノ・セナを起用した。

テクニカルディレクターのジェームス・アリソンによれば、前方排気はアンダーステア対策として、車体中央付近のダウンフォースを増やす狙いがあったという[9]。風洞実験の数値から期待されたものの、実際はそれほどのダウンフォースを発生せず、低速コーナーに根本的な弱点を抱えていたという[10]。アリソンは「大胆な試みではあったが、最終的に失敗だった」と認めた[10]

スペック

サイドポンツーン前方下部にある排気口。
排気口は斜め下方向に向けられている。

シャーシ

エンジン

  • エンジン名 ルノーRS27-2011
  • 気筒数・角度 V型8気筒・90度
  • 排気量 2,400cc
  • 最高回転数 18,000rpm(レギュレーションで規定)
  • シリンダーブロック アルミニウム鋳造製
  • バルブ数 32
  • 重量 95kg
  • 潤滑油 トタル
  • エンジンマネージメント FIA(MES製)標準コントロールユニットTAG310B

記録

No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 ポイント ランキング
AUS
MAL
CHN
TUR
ESP
MON
CAN
EUR
GBR
GER
HUN
BEL
ITA
SIN
JPN
KOR
IND
ABU
BRA
2011 9 ハイドフェルド 12 3 12 7 8 8 Ret 10 8 Ret Ret 73 5位
セナ 13 9 15 16 13 12 16 17
10 ペトロフ 3 17 9 8 11 Ret 5 15 12 10 12 9 Ret 17 9 Ret 11 13 10

脚注

  1. ^ “ロータスがルノーの株式を取得。ルノーはサプライヤーに”. AUTOSPORT web. (2010年12月8日). https://www.as-web.jp/past/%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%82%bf%e3%82%b9%e3%81%8c%e3%83%ab%e3%83%8e%e3%83%bc%e3%81%ae%e6%a0%aa%e5%bc%8f%e3%82%92%e5%8f%96%e5%be%97%e3%80%82%e3%83%ab%e3%83%8e%e3%83%bc%e3%81%af%e3%82%b5%e3%83%97%e3%83%a9 2010年12月8日閲覧。 
  2. ^ “ロータス・ルノーGP R31、サイドポット前方に排気口を配置”. F1-Gate.com. (2011年2月2日). http://f1-gate.com/renault/f1_10588.html 2011年2月19日閲覧。 
  3. ^ “ルノーの排気システム、2011年F1マシンのトレンドに?”. F1-Gate.com. (2011年2月3日). http://f1-gate.com/renault/f1_10610.html 2011年2月19日閲覧。 
  4. ^ “Renault R31 - forward exhausts”. Formula1.com. (2011年2月11日). http://www.formula1.com/news/technical/2011/0/832.html 2011年12月9日閲覧。 
  5. ^ “ニック・ハイドフェルド、火災の原因はエキゾーストの故障”. F1-Gate.com. (2011年5月22日). http://f1-gate.com/heidfeld/f1_11790.html 2011年8月1日閲覧。 
  6. ^ “ニック・ハイドフェルド、マシン炎上も怪我はなし”. F1-Gate.com. (2011年8月1日). http://f1-gate.com/heidfeld/f1_12543.html 2011年8月1日閲覧。 
  7. ^ “バレンシアテスト最終日:2月3日”. ESPN F1. (2011年2月4日). http://ja.espnf1.com/f1/motorsport/story/39910.html 2011年12月9日閲覧。 
  8. ^ “ルノー、前方排気を断念か。“通常型”をテストへ”. AUTOSPORT web. (2011年7月21日). https://www.as-web.jp/past/%e3%83%ab%e3%83%8e%e3%83%bc%e3%80%81%e5%89%8d%e6%96%b9%e6%8e%92%e6%b0%97%e3%82%92%e6%96%ad%e5%bf%b5%e3%81%8b%e3%80%82%e9%80%9a%e5%b8%b8%e5%9e%8b%e3%82%92%e3%83%86%e3%82%b9%e3%83%88 2011年12月9日閲覧。 
  9. ^ 『オートスポーツ2月2日号』第1323号、三栄書房、2012年1月、65頁。 
  10. ^ a b “R31は"大胆"だが失敗作とルノー”. ESPN F1. (2011年11月19日). http://ja.espnf1.com/renault/motorsport/story/64802.html 2011年12月9日閲覧。 
  11. ^ “ロータス・ルノーGP R31”. F1-Gate.com. (2011年1月31日). http://f1-gate.com/renault/r31.html 2011年2月4日閲覧。 



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