モデル生物の選択とは? わかりやすく解説

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モデル生物の選択

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 23:48 UTC 版)

モデル生物」の記事における「モデル生物の選択」の解説

モデル生物は、研究対象となる生命現象観察しやすいこと、すなわち生物学的利点を持つことが重要である。飼育・培養が容易であること、つまり実験手法として容易であることも重要である。たとえばウニ発生学でよく使われたのは、入手実験操作の上で容易であった事とともに、透明で内部良く見えるためであり、この点でたとえばヒトデ向かない云う目的生物一般共通する原理究明するためであるからある意味ではどれを選んでいいともいえる。その場合、入手容易さ飼育培養、あるいは実験操作容易さで選ぶ事になろう。しかし、特定の現象が特によく発達しているものを選ぶ、と云う場合もある。たとえば神経に関してヤリイカ使われるのは、太い神経繊維持っているからである。 あまりに大きなものや、成長の遅いもの、特殊なエサ必要な生物モデル生物として適さないバクテリオファージウイルスに関するモデルとなったのは、一般ウイルス生きた細胞でしか増殖せず、細胞培養技術未発達時代には使えなかった中で、培養簡単な大腸菌繁殖させることが出来たことも大きい。特殊な生物でも、飼育や培養の方法確立することでモデル生物となる場合もある。真正粘菌モジホコリはこの例である。 その生物実社会において有用経済的利点を持つことも重視される。これは研究結果そのまま実用上の役に立つだけでなく、実用上の必要性から情報蓄積が多いことも重要である。遺伝学初期の実験エンドウハト、あるいはカイコなどで行われたのもこれによる。 分子遺伝学の発展以降ゲノムプロジェクト発達しゲノミクス観点から研究が行われることが増えているため、ゲノムサイズ小さいことも注目されている研究対象として好適生物選ばれることにより、研究進行格段に変わることは、科学史にはよく見られる現象である。例え遺伝の研究は、初期にはエンドウハトなど、有用動植物使われた。しかしショウジョウバエという人間社会直接的な利点がないものの、生活環早く、飼育や系統化が容易である生物選んだことで格段に進行した遺伝子働き解明の際には、栄養要求簡単なアカパンカビ選ばれている。また初期分子生物学には、細菌感染するウイルスバクテリオファージ用いることで遺伝暗号解読などが行われた。 人工癌は日本の山三郎最初にそれに成功したことで知られる。彼は他の研究者が失敗したのは早く諦めたためとの判断で、長期実験でこれに成功したとされるが、モデル選択もその成功与っている。彼はウサギ使ってこれに成功したが、それ以前研究者多くラット使った。後の研究で、ラットではこのタイプ癌の発生率が極めて低いことが確かめられた。ちなみにハツカネズミ使えばウサギよりさらに簡単に発生させられることも知られている。

※この「モデル生物の選択」の解説は、「モデル生物」の解説の一部です。
「モデル生物の選択」を含む「モデル生物」の記事については、「モデル生物」の概要を参照ください。

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