メソポタミア文学史上の位置づけ
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「エンヘドゥアンナ」の記事における「メソポタミア文学史上の位置づけ」の解説
エンヘドゥアンナは作者が分かっている文章を書いた、世界最古の人物の一人である。一握りの書記たちしか読み書きができなかった時代に、エンヘドゥアンナは母語(アッカド語)でないシュメール語も書くことができた。彼女の詩は、神々の威容と、神々に仕える自分を描き、神と自分との個人的な関係や個人的な心情をつづっている。また彼女は、「わたくし」を語り手とする一人称の視点で文を書いた最古の人物であり、エンヘドゥアンナ以前にこのような文書は発見されていない。 『イナンナ女神賛歌』は、詩の冒頭の言葉である「ニンメシャルラ」(すべての「メ」 - 世界の根源となる律法 - の女主人)という語句から、当時は『ニンメシャルラ』の名で呼ばれていた。これは彼女の死後も神聖な文書として崇拝され、後のバビロニア時代にもエドゥブバ(「粘土板の家」、子供に楔形文字や粘土板の読み書きを教え、書記すなわち官僚を育てる学校)で教材として用いられ、当時の図書館や学校の書名目録にも記載されていた。この詩を書いた粘土板は100以上見つかっており、後世にもよく知られていたことがうかがえる。 彼女の作に帰せられている作品には、次のようなものがある。 『ニンメシャルラ』(Nin-me-sara, 『イナンナ女神賛歌』) - 153行の詩。Hallo および van Dijk により1968年に編集・解読。最初の65行はイナンナ女神をさまざまな形容詞で讃え当時のシュメルの最高神アンにも比すべきものとしている。その後はエンヘドゥアンナがウルとウルクの町と寺院を追放されている境遇を嘆き、ナンナ神のとりなしを頼んでいる。 『In-nin sa-gur-ra』 - 274行分が残存。29の粘土板片から Sjoberg が1976年に編集・解読。 『In-nin me-hus-a』(『イナンナとエビフ』) - Limetにより1969年に解読。 『神殿賛歌集』 - シュメールとアッカドのさまざまな神殿を讃えた42の賛歌からなる。Sjoberg と Bergmann により1969年に編集。 『ナンナ賛歌』 - Westenholz により編集。
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