ムカサリ絵馬とは? わかりやすく解説

ムカサリ絵馬

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/24 03:45 UTC 版)

ムカサリ絵馬(ムカサリえま)とは、民間信仰による風習の一つ。山形県村山地方[1]置賜地方にかけて行われている[2]。ムカサリは「迎えられ」からくる結婚方言[1][3]。嫁に迎えて去ることからこう呼ばれる。元々は婚姻していない男性を供養して半人前の状態から一人前の状態にするという親心が動機になっていると歴史学者佐藤弘夫は説明している[2]。供養の対象となるものには研究によって差異があるものの、未婚の死者であることが多数を占める[4]


注釈

  1. ^ 盲目の巫女。信者の方から彼らを尋ねる。ムカサリ絵馬のみならず、重病人や貴重品を無くした人、家出人の捜索などにも彼らは必要とされる[19]
  2. ^ このことについては供養主義の関連についても指摘されている[17]
  3. ^ トップページでは2016年現在もムカサリ絵馬の奉納が行われていることが分かる[38]
  4. ^ この禁忌は1994年の高松の調査結果との間で[21]、矛盾がある。

出典

  1. ^ a b 須藤功『大絵馬ものがたり』 3 (祈りの心)、農山漁村文化協会、2009年12月、44-45頁。ISBN 978-4-540-09141-4NCID BB00674479 
  2. ^ a b 佐藤 2015, p. 10.
  3. ^ むがさり(山形の方言)の意味・変換 -全国方言辞典 -goo辞書
  4. ^ a b c d 山本 2020, p. 2.
  5. ^ a b 岩井 1979, p. 126
  6. ^ a b c 大東 2014, p. 168
  7. ^ a b c 大東 2014, p. 169
  8. ^ a b 松崎 1993, p. 45
  9. ^ 山本 2020, pp. 2–3.
  10. ^ 松崎 1993, p. 67.
  11. ^ 鈴木実 (2000年4月15日). “ムカサリ絵馬余聞”. 河北新報「紅花路. 2019年4月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年3月22日閲覧。
  12. ^ 柏崎幸三「山形県東部に残る『死後婚』の風習 ムカサリ絵馬に込める思い」『産経新聞』産経新聞社、2020年9月21日、2頁。2020年11月12日の オリジナル よりアーカイブ。2020年11月12日閲覧。
  13. ^ a b c 小谷みどり (2007年7月26日). “ムカサリ絵馬 子を失った親の悲しみ”. 北海道新聞. 2010年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年4月6日閲覧。
  14. ^ a b 小田島 2008, p. 879
  15. ^ a b c d 岩井 1979, p. 128
  16. ^ a b c d 金 2010, p. 248
  17. ^ a b c 金 2010, p. 252
  18. ^ 伏見祐紀、山形県村山地方のムカサリ絵馬習俗について 日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第42回研究大会 セッションID:F-34, doi:10.14890/jasca.2008.0.201.0
  19. ^ 岩井 1979, p. 127.
  20. ^ 金 2010, pp. 248–249.
  21. ^ a b c d 高松敬吉「死後結婚: 一日本・韓国・中国の比較研究一」『比較民俗研究』第10巻、筑波大学比較民俗研究会、1994年9月30日、19頁、ISSN 09157468NAID 1100005310392016年8月21日閲覧 
  22. ^ 佐藤 2015, p. 8.
  23. ^ ジェニファー・ロバートソン「絵馬から読み取る想像の共同体―戦中期日本における絵馬と戦略的二律背反性―」『Asian Ethnology』第67巻第1号、2008年、27頁、JAT01004、 オリジナルの2011年8月10日時点におけるアーカイブ、2016年8月24日閲覧 
  24. ^ 佐藤 2015, pp. 8–10.
  25. ^ 金 2010, p. 249.
  26. ^ 小田島 2008, p. 880.
  27. ^ 松崎憲三「生き甲斐と幸せな死、来世への祈り:─生命観の変化を踏まえて─」『日本常民文化紀要』第31巻、成城大学大学院文学研究科、21頁、2016年3月http://id.nii.ac.jp/1109/00003613/2016年8月24日閲覧 
  28. ^ 櫻井 1988, p. 125.
  29. ^ a b 櫻井 1988, p. 127.
  30. ^ 岩井 1979, p. 133.
  31. ^ 岩井 1979, p. 140.
  32. ^ 岩井 1979, p. 129.
  33. ^ 内山大介「特別展「みちのくの観音さま」東北の観音霊場 と民俗信仰」『福島県立博物館紀要』第29巻、福島県立博物館、2015年3月、77頁。 
  34. ^ 佐藤 2015, pp. 10–11.
  35. ^ a b 東北大学宗教学研究室 2010, p. 3.
  36. ^ 松崎 1993, pp. 46–47.
  37. ^ a b 松崎 1993, p. 47
  38. ^ トップページ”. 若松観音 鈴立山 若松寺. 2022年12月11日閲覧。
  39. ^ 小田島建己「<死者の結婚>とその形象-「冥婚」・「死霊結婚」概念と習俗実態との差異」『比較民俗研究』第23巻、筑波大学比較民俗研究会、2009年3月、3頁、ISSN 09157468NAID 1200018703762016年8月21日閲覧 
  40. ^ 大村哲夫「死者の「卒業証書」: 被災した学校における慰霊と癒し」『宗教研究. 別冊』第87巻、日本宗教学会、2014年3月30日、439頁、doi:10.20716/rsjars.87.Suppl_438ISSN 218838582016年5月29日閲覧 
  41. ^ a b c d 金田 2010, p. 151.
  42. ^ 金田 2010, pp. 145–146.
  43. ^ 金田 2010, p. 145.
  44. ^ 金田 2010, p. 152.
  45. ^ 金田 2010, p. 146.
  46. ^ a b c 金田 2010, p. 149.
  47. ^ 金田 2010, pp. 149–150.
  48. ^ 金田 2010, p. 150.


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ムカサリ絵馬

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天の神話 地の永遠」の記事における「ムカサリ絵馬」の解説

江戸時代より山形県村山地方のみで行われ死者悼む純粋な気持ちから生まれた風習である。鎮魂儀式として故人のために伴侶一緒に婚礼の絵が描かれ奉納される絵馬亡くなった人物の伴侶想像なければならず、絶対に実在人物描いてはいけないという決まりがある。何故なら、現実生きている人物描いてしまったなら、その人物は呪いにより冥界に連れて行かれると言われている。作中では実際にムカサリ呪い」が発動した。

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