ミレニアム開発目標とグローバル・ヘルスの拡大
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 15:33 UTC 版)
「国際保健」の記事における「ミレニアム開発目標とグローバル・ヘルスの拡大」の解説
2000年9月ニューヨークで開催された国連ミレニアム・サミットに参加した189の加盟国は、21世紀の国際社会の目標として国連ミレニアム宣言を採択した。この宣言では、平和と安全、開発と貧困、環境、人権とグッドガバナンス(良い統治)、アフリカの特別なニーズなどを課題として掲げ、21世紀の国連の役割に関する明確な方向性を提示した。ミレニアム開発目標 (Millennium Development Goals: MDGs) は、この国連ミレニアム宣言と1990年代に開催された主要な国際会議やサミットで採択された国際開発目標を統合し、一つの共通の枠組みとしてまとめられたものである。MDGsは、2015年までに達成すべき8つの目標を掲げており、それぞれのゴールには、具体的なターゲットと数値目標が定められている。 MDGs では、グローバル・ヘルスが極めて重要な課題として位置付けられており、8項目中次の3項目が直接的にグローバル・ヘルスに関連する。(保健関連MDG) ゴール4:乳幼児死亡率の削減 ゴール5:妊産婦の健康の改善 ゴール6:HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止 147ヶ国の国家元首を含む189ヶ国が参加したこのサミットは、史上最大の規模であり、ミレニアム宣言は極めて高いレベルの政治的コミットメントであるといえる。そのため、現在のグローバル・ヘルスの取り組みの多くは、この MDGs を達成する目的で行われている。 MDGs によりグローバル・ヘルスのプライオリティが非常に高く設定されて以降、様々な分野からグローバル・ヘルスへの資金の流入が起こっている。各国の政府開発援助に占めるグローバル・ヘルス関連の支出も増加しているほか、民間財団による出資も活発化している。グローバルヘルスを中心に資金を拠出している財団としては、マイクロソフト元会長ビル・ゲイツによる世界最大の慈善基金団体ビル&メリンダ・ゲイツ財団 (B&MGF) や、元米国大統領ビル・クリントンによるクリントン財団などがある。こうした民間による新たな資金調達方法の出現は、これまでの ODA を中心とした枠組から大きなパラダイムシフトを起こしている。 例えば、民間財団や政府、企業、個人が出資する世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)や、GAVIアライアンスなど、新たな資金創出メカニズムを持つ基金も生まれており、民間、NGO、国際機関、政府の援助機関らが共同でパートナーシップを形成するケース(例えば、The Partnership for Maternal Newborn and Child Health)も増えてきている。
※この「ミレニアム開発目標とグローバル・ヘルスの拡大」の解説は、「国際保健」の解説の一部です。
「ミレニアム開発目標とグローバル・ヘルスの拡大」を含む「国際保健」の記事については、「国際保健」の概要を参照ください。
- ミレニアム開発目標とグローバル・ヘルスの拡大のページへのリンク