ミニバンのブーム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 06:49 UTC 版)
大容量の乗用車といえばワンボックス、という状況だった日本であったが1987年のシボレー・アストロの登場によって状況が変わってゆく。日本においてアメリカのアウトドアライフスタイル(アメカジ、RVなど)の人気が徐々に高まっていくと、人々はボンネットバンというアメリカ特有のスタイルに興味を注ぎ始めた。ただアメリカと国情が違いすぎる日本ではサイズや維持費がネックとなっていた。そんな中アストロが登場すると米国で人気を博し、日本でも(アメ車の中では)お手頃なサイズ、そしてスタークラフト等のビルダーが豪華な内装にカスタムした車両を売り出したことなどから人気を博した。また1993年に軽トールワゴンの先駆けであるスズキ・ワゴンRが登場するとヒット商品となり、ダイハツ・ムーヴを始めとするライバル車種が続々と登場して軽乗用車の主流となっていく。 2000年代以降、節約志向や環境意識の高まり、世界的なクロスオーバーSUVのブームに伴いミニバン人気は下火になっており、マツダ・SUBARUのようにミニバンから撤退したメーカーも現れている。当然ながらミニバンは多人数乗車/大容量積載が可能である点がメリットで、それを実現する大型のボディは当然燃費やタイヤライフ、取り回し性の悪さという代償を支払うことになる。つまり乗車人数/積載量が少ないと恩恵が小さく欠点が目立つが、ブーム当時はミニバンに普段1~2人でしか乗らないユーザーも多かった。しかし燃費に関してはエンジン技術の進歩で大幅な改善が見られており、2010年代以降は回復傾向にある。 ミニバンが市場に与えた影響は大きく、ミニバンの強みを取り入れた新ジャンルの車両も登場している。例えば3列シートであればトヨタ・ヴァンガードや三菱・アウトランダー(ガソリン車)、マツダ・CX-8等、一部のクロスオーバーSUVにまで用意されるようになった。 また軽自動車やコンパクトカーにおいてもトールワゴンと呼ばれる、車高を高くして居住性を高めたりスライドドアを装備したりと「ミニバンをちょうどいいサイズに小型化した」車両が登場。特に軽自動車ではスズキ・ワゴンRやダイハツ・ムーヴなどの登場以来、市場の主流となっている。スライドドアを装備した車両(スズキ・パレット、ダイハツ・タント、三菱・eKスペース、ホンダ・N-BOXなど)も登場しており、ホンダや三菱のように結果として従来型のハッチバックの生産・販売を取りやめたメーカーも存在する。
※この「ミニバンのブーム」の解説は、「ミニバン」の解説の一部です。
「ミニバンのブーム」を含む「ミニバン」の記事については、「ミニバン」の概要を参照ください。
- ミニバンのブームのページへのリンク