ベータ神話
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 00:38 UTC 版)
かつてハイアマチュア層の一部にベータフォーマットのVHSに対する様々な優位性を熱狂的にとらえる、いわゆるベータ神話が存在したが、テープメディアを用いるビデオデッキそのものが主力ではない現在、過去のフォーマットの評価として冷静な分析が行われている。 VHSの高規格版・S-VHSは新製品の投入の度に画質向上の努力(色信号処理、ドロップアウトノイズ対策、3次元YC分離、3次元ノイズリダクション、タイムベースコレクタの装備など)がなされたが、EDベータは販売数でも後塵を拝していたことから、1990年を最後に新製品が投入できず、付加的な画質向上策がほとんどなされなかった。そのため規格上でのスペックではEDベータが圧倒的優位だったにもかかわらず、実質上の画質では1990年以降も精力的に画質向上を図った新製品を投入したS-VHSのほうが上だと評価する雑誌(『月刊ビデオSALON』/玄光社刊)・評論家(飯田明)もいた。さらに1993年には明らかにEDベータを規格上でのスペックで凌駕するW-VHSが生まれている。 一方でHi-Bandベータに関しては、ノーマルVHSよりも画質が上回っていることは、多くの評論家・ビデオ雑誌で見解がほぼ一致していた。規格としてはHi-Bandベータは水平解像度ではVHSを上回るものの、SN比では劣り一長一短であるが、ビデオテープの性能向上によるSN比の改善により欠点は克服された。また、もともと周波数偏位幅が1.2MHzとVHSより広かったため、白から黒への階調表現が豊かであったことも有利に働いている。雑誌などでEDベータの機器が紹介された時には「Hi-Bandベータが十分高画質なので、EDベータを使う必然性があまりない」とも評された。 なお、画質の良さとカセットのコンパクトさから「技術で勝っていたベータがVHSに負けた」、「技術の優れる製品が勝てるわけではない」という総括のされ方もされることがあるが、VHSは当初から2時間録画に対応し、初期のデッキでもベータよりも軽く、特殊再生や製造が比較的容易な点など、初期の頃であってもベータよりも優位な点もあった。ベータはVHSより部品点数が多く調整にも精度を要求されたが、国士舘大学理工学部教授の大高敏男は機械設計において重要な要素として品質・コスト・納期の三つを挙げ、コストを下げるために留意すべきポイントとして組み立てやすさ・製造のしやすさへの配慮や部品点数の削減を挙げている。
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