ベクトル型スーパーコンピュータの完成
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「スーパーコンピュータ技術史」の記事における「ベクトル型スーパーコンピュータの完成」の解説
詳細は「ベクトル計算機#歴史」を参照 CDC 6600とCDC 7600の開発の中心人物であったシーモア・クレイはCDCを離脱し、クレイ・リサーチ社を立ち上げた。クレイのCray-1により、パイプライン処理により高性能を実現するベクトル型スーパーコンピュータは完成を見た。 Cray-1の成功は、他社に見られた漫然と「ベクトル計算を行えばよい」というアーキテクチャに陥らず、ベクトルレジスタやチェイニングにより可能な限りの性能を叩き出す、とした設計のうまさによる。ピーク性能を発揮するのは、64Kワード(65536ワード。Cray-1のワードは64ビット)単位の行列計算において、加算及び乗算とからなる計算を行った場合である。その後のスーパーコンピュータ群では、ベクトルレジスタの容量の増大及び減算及び除算演算機能をハードウエアに組み込む形で性能向上が行われた。以上により、Cray-1は性能の点で他を1桁以上リードしていた。 一方、日本のコンピュータメーカも独自にアレイプロセッサを開発したりしていたが、1980年代には富士通・日立製作所・日本電気共に、クレイと競争するクラスのスーパーコンピュータを開発し販売した。これら日本メーカー機の特徴としては、各社ともに主力製品としてメインフレーム機を持つことを生かし、それらの演算強化ユニットのような形で、ないしは周辺プロセッサとしてそれらを使う設計とした。このことは性能対価格比を有利にした。 Cray-1ではハードウェアの出荷に対してソフトウェアの充実が遅れ、数年後となったが、自動ベクトル化処理に対応したFORTRANライブラリ (FORTRAN-77) の提供を行った。さらに1983年のCray X-MP/4提供時にはUnix系OSのUNIC OSを提供した。 その後、クレイによって打ち立てられたスーパーコンピュータの基軸に沿った形で、各スパコンメーカーが自社のスーパーコンピュータを発表していく。その基軸とは、 ECLデバイスによる高速動作 パイプラインによる高速ベクトル計算の実現 UNIX系OSによる使いやすさの提供 科学技術計算のためのFORTRANライブラリの提供 である。
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