ヘスペリア‐だい【ヘスペリア代】
ヘスペリア代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 09:16 UTC 版)
ヘスペリア代(英: Hesperian)は約37億年前から30億年前まで続いた火星史の中間および移行期である。この時代は、激しく広範囲にわたる火山活動や壊滅的な洪水の発生率が低下した時代である。 この時代にオリンポス山が形成され始めたと考えられている。 当時の火星は雪ではなく雨が降るほどには温暖だったものの、氷河が成長できるほどには水蒸気量が多くない「温暖だが半乾燥」で、現在の地球でいう「ステップ気候」のような気候だった。この時代、水が高緯度と低緯度で循環し、地球の氷期と間氷期のような定期的な変化が起きていたと考えられている。 この時代の火星は、36億年前ごろに形成されたと考えられる海「デウテロニルス(Deuteronilus)」という海洋に覆われていた。この時代の火星は深さ137メートルの液体層に覆われ、その表面積は北半球の約半分に及んでいた。約35億年前には、火星の表面の3分の1以上が巨大な海に覆われていたとされ、場所によっては水深が1.5km以上あったとされる。これらの大洋は、大西洋よりも大きかったが、時の経過とともに宇宙に蒸発した。当時の水質はpHは6.9~7.3の中性で、塩分は地球の海水の3分の1程度、そしてミネラルを豊富に含んだ水であった。そのため、地球型の生命を寄せ付けないものではなく、生存に適したものだったと考えられている。 火星の主要な構造的特徴の多くは、この時に形成された。巨大なタルシスバルジの重さが地殻に圧力をかけ、西半球全体に伸展骨折(窩)と圧縮変形機能(しわの尾根)の広大なネットワークを形成した。これらのストレスの結果としてヘスペリア代にはマリネリス峡谷などが形成された。 ヘスペリア代は前期ヘスペリア代と後期ヘスペリア代の2つの年代層序時代に分けられる。
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