ブレイザーマニア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 00:09 UTC 版)
「1976-1977シーズンのNBA」の記事における「ブレイザーマニア」の解説
ポートランド・トレイルブレイザーズが誕生したのは1970年。その翌年の1971年、カレッジバスケ界に彗星の如く現れた選手が居た。UCLAのスカウトマンであるデニー・クラムはその赤毛の少年のプレイを見た直後、当時のUCLAの男子バスケチームを指導していたジョン・ウッデンに「史上最高の選手を見つけた」と報告した。NCAAトーナメント六連覇を誇り、カリーム・アブドゥル=ジャバーを指導したウッデンは、「馬鹿なことを言うんじゃない」と興奮気味のクラムを窘めたが、その赤毛の少年を獲得したUCLAは連覇記録をさらに9つに伸ばし、88連勝と2シーズン無敗という前人未到の記録を打ち立てた。赤毛の少年、ビル・ウォルトンは1974年のNBAドラフトにアーリーエントリーし、ポートランド・トレイルブレイザーズから全体1位指名を受けてNBA入りを果たす。 ウォルトン獲得前のブレイザーズはシーズン30勝以上を上回ったことがない、リーグでも有数の弱小チームだった。当然地元からの支持は得られず、興行成績は振るわなかった。1950年に黒人選手が初めてNBAのコートに足を踏み入れて以来、リーグに占める黒人選手の割合は爆発的に増加し、1970年代にはリーグのトップ選手の殆どが黒人選手だった。黒人選手の隆盛は白人ファンのNBA離れを引き起こしたが、ウォルトンはNBAにとって久しぶりの白人スター選手であり、その自由奔放な性格も手伝って、特に白人ファン層から熱い支持を受けた。彼の所属するブレイザーズの人気も俄かに高まり、1973-74シーズンは327,495人だったシーズン総観客動員数が、ウォルトンが入団した1974-75シーズンには441,506人と40%近くの伸びを見せた。ブレイザーズへの熱狂はやがて「ブレイザーマニア(Blazermania)」と呼ばれるようになった。しかし地元の熱狂とは対照的にチーム成績は振るわず、ウォルトンを獲得したシーズンは前季より11勝を上積みしたものの、ウォルトンは故障が多く、以後も3シーズンをプレーオフ不出場で過ごしていた。 シーズン前、ブレイザーズはチーム改革に踏み切った。初期のブレイザーズを二枚看板として支えたシドニー・ウィックスとジェフ・ペトリーを放出し、チームの大幅な若返りを図ったのである。そして出来上がったチームは24歳のビル・ウォルトン、同じく24歳でこのシーズンにブレイザーズに移籍し、ウォルトンと強力なインサイドコンビを築いた元ABAのモーリス・ルーカス、プロ2年目で23歳のライオネル・ホリンズとボブ・グロス、元ABAで27歳のデイブ・ツワージクらが主力を担うという、大変に若いチームとなった。ブレイザーズは前季の平均96.4得点から103.2得点と得点力を大幅に上昇させることに成功し、またウォルトンはキャリアで初めて60試合以上に出場した(ウォルトンが出場した試合は勝率.677でリーグ最高だった)。好調のシーズンを過ごしたブレイザーズは過去最高勝率となる49勝を記録し、創部7年目にしてプレーオフ初出場を果たした。プレーオフではリーグ首位の勝率を収めたロサンゼルス・レイカーズとカンファレンス決勝で対決した。当時リーグ最高峰のセンターだったレイカーズのカリーム=アブドゥル・ジャバーと、ブレイザーズのウォルトンは同じUCLA出身であり、それぞれがNCAA九連覇の前期と後期を支えた選手だった。2人の対決は1960年代のビル・ラッセル対ウィルト・チェンバレンの再来と人々の期待を寄せたが、結果は予想外にもので、4勝0敗でブレイザーズの圧勝だった。ブレイザーズはプレーオフ初出場にして、ファイナル初進出を果たしたのである。 東から勝ち上がってきたのはフィラデルフィア・76ersである。76ersもまたABAから即戦力の獲得によって力を着けたチームであり、元ABAのMVP・ファイナルMVP・得点王である"Dr.J"ことジュリアス・アービングはNBAでもすぐにエース格に修まった。76ersはアービング、アービング移籍前の76ersのエースであったジョージ・マクギニス、シックスマンだったワールド・B・フリーらに率いられ、プレーオフも勝ちあがって3年ぶりにファイナルに進出した。レギュラーシーズン50勝と49勝、直接対決でも2勝2敗ずつと、ファイナルは実力伯仲のチーム同士の対決となった。
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