ブランディング技法の深化と専門店の増殖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/06 00:33 UTC 版)
「セレクトショップ」の記事における「ブランディング技法の深化と専門店の増殖」の解説
店舗というものの歴史を調べれば分かることだが、もともと日用品店であれ、雑貨店であれ、洋服店であれ、小売店というのはさまざまな職人や業者や企業が作ったものを売ることはきわめて一般的なことである。 もともと19世紀や20世紀の製造や流通での一般的な流れとしては、メーカーは(ほぼ)製造すると、上流の大手流通業者(「問屋」などと呼ばれるものの中の特に大手)にまとまった数量販売し(メーカーはその先、商品がどのように販売されてゆくかについてはあまり関与せず / 関与できず)、大手問屋はさらに2次問屋に販売し、2次問屋が3次問屋や小売店に販売し、2次問屋~3次問屋や小売店には複数のメーカーの商品が流れ込む、ということが標準的であった。 ところが日本では20世紀後半に、マーケティングの分野(大学でのマーケティング研究)でブランド設定やブランドイメージの構築によって利益を大きくする手法が本格的に研究されるようになり、MBAのカリキュラムにも組み込まれ、その知識やノウハウが服飾品や高価格帯商品などの実務の世界へ導入されるようになったが、(従来どおりの、小売店が複数のメーカーの商品を販売する、という店舗では、店舗側が自社(メーカー)の商品やブランドをどう扱ってくれるかその扱い方次第でブランドイメージはどうとでもなってしまい、メーカー側がコントロールしようとしても、商品パッケージはあるが、それ以外には、商品付近にリーフレットを置いたり、商品を置く棚にイメージ醸成のためのパネルを置いてもらうことや、あるいは多大な費用をかけて、メーカー側の意図通りにお客にイメージを与えるトレーニングを受けさせた販売員を店舗に配置させてもらう、など、あまり選択肢が無い、という問題があった)、その結果、比較的大きなメーカーが、自社ブランドイメージを自社が狙った通りに顧客の心に植えつける(刷り込む)ためには、メーカーみずからが店舗を作り、ブランドイメージを醸成するような店舗を、設計や内装のレベルから関与し、その店舗の中に、自社の商品を配置することで、購買者に 特定の(メーカーによってコントロールされた)イメージを強く刷り込む、という手法を採用する会社がポツポツと出てくるようになり、その多くが成功し、成功例を見て模倣するメーカーが続々と増え、世の中の小売店の中で、特定メーカー(ブランド)の商品ばかりを扱う店舗の割合が増えてきた。その結果、特定ブランド専門店(たとえばユニクロ)が大幅に増え、日本中の都市部の商業地区のかなりの面積割合を占めるようになり、いつのまにか従来型の店舗の割合が減ってしまった。 なおこうした特定メーカー専門店(特定ブランド専門店)では、商品のラインナップを決定するのは、一般論として言えば、メーカーのマーケティング部門(販売推進部門)や商品開発部門およびメーカーの経営陣であり、メーカー本部のマーケティング部門(販売推進部門)が、商品群の販売計画の大枠や商品ラインナップの展開もあわせて決定する。そして各店舗の「店長」と呼ばれる人は、メーカー本部のマーケティング部や販売推進部等の指示通りに動くのが任務であり、自分の担当する店舗の中に並べる商品に関しても本部の打ち出した指示や方向性に従うのが主たる任務で、裁量の余地はほとんどない。
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