ピアース (ISS)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/16 09:59 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動ピアース・ドッキング室(The Pirs docking compartment)は、国際宇宙ステーション(ISS)のロシアのモジュール。ピアース(Пирс:ロシア語で「埠頭」を意味する)、またはスティカヴァチヌイ・オステク1(Стыковочный отсек:ロシア語で「ドッキング室」)、または英語の頭文字をとって「DC-1」、ロシア語の頭文字を取って「SO-1」とも呼ばれる。
初期のISS計画で予定していた、ロシアの2つのドッキングモジュールのうちの1つで、2001年9月に打ち上げられた。ISSの居住・生命維持モジュールであるズヴェズダにドッキングして、エアロック・補給船のドッキングポートとして活用されてきた。
2021年7月26日、多目的実験モジュール(MLM)ナウカ(Nauka)へドッキングポートを譲るため、無人宇宙補給機プログレスMS-16と共に大気圏に投棄され、20年にわたる長期の任務を終えた[1]。
概要
ピアースには2つの主要な機能がある。ひとつはISSへの宇宙船や貨物船のためのドッキング装置であり、もうひとつは2人のISS宇宙飛行士がロシアのオーラン宇宙服を着て宇宙遊泳のために出入りするエアロックである。アメリカ区画のエアロックであるクエストからでもオーラン宇宙服での出入りに対応しているが、ロシアが管理するモジュールに関して船外活動をおこなうときは、ピアースを利用して実施することが原則となっている。
またピアースは、ドッキングしているプログレスM補給船の推進剤タンクから、ズヴェズダの推進システムかザーリャ機能的貨物ブロックへ推進剤を補給することができる。また反対に、ズヴェズダとザーリャから、ドッキング中のプログレスの推進システムへ推進剤を補給することもできる。
設計と製造
ピアースは、RKKエネルギアによって製造された。ドッキング室は、ミール宇宙ステーションで使われたミールドッキングモジュールと少し似ており、ソユーズTMA宇宙船やプログレスM補給船とのドッキング装置を備えている。
打ち上げ
ピアースは2001年9月14日に、ISS組立ミッション4Rとして、ロシアのソユーズUロケットで打ち上げられ、プログレスM-SO1の推進モジュールを使用してズヴェズダサービスモジュールの底側(地球に面した)結合部に2001年9月16日にドッキングし、第3次長期滞在クルーが3回の船外活動で接続作業を行った。
歴史
2001年にISSのロシア区画が再見直しされたとき、新たな計画からは「SO-2」(もうひとつのドッキングモジュール)がキャンセルされ、製造は中止された。[2]当初の計画では「SO-2」がISSに設置されると、ピアースは廃棄されて大気圏突入する予定だった。しかし「SO-2」は資金不足のために製造中止され、計画から削除されたため、代わりにピアースが使われ続けることになった。
なお、このDC-2(SO-2)はその後MRM-2と名称を変更し、2009年11月に打ち上げられて、ズヴェズダの上部に結合した。多目的実験モジュール(MLM)には(有人対応用の)エアロック機能はないため、MRM-2がDC-1の機能を引き継ぐ。
ISSの一部としてのピアースの設計寿命は5年であり、寿命を大幅に越えていることやISSロシア区画の拡張の都合上、2021年7月26日に多目的実験モジュール(MLM)へドッキングポートを譲るために分離して大気圏に投棄された。分離したピアースとプログレスMS-16は大気圏再突入を行い南太平洋上空で破壊が確認された[3]。
仕様
円筒形をしているが、与圧モジュールではない。
- 長さ:4.9m
- 直径:2.25m
- 重量:3,676kg
- 体積:13m3
出典
- ^ ISSのモジュール「ピアース」分離、無人補給船とともに大気圏へ再突入 出版:SORAE 更新日:2021/7/27、参照日:2021/7/27
- ^ Docking Compartment of the Russian segment of the ISS
- ^ Gebhardt, Chris (2021年7月25日). “Farewell, Pirs; ISS module decommissioned, destructively reentered”. NASASpaceFlight.com. 2021年7月26日閲覧。
外部リンク
- ドッキング室(DC-1) -- JAXA (日本語)
- Pirs Docking Compartment -- NASA (英語)
「ピアース (ISS)」の例文・使い方・用例・文例
- ボンド(ピアース・ブロスナン)はムーン大佐(ウィル・ユン・リー)を暗殺する任務を負っている。
- ソフィはドナに内緒で,その3人の男性,サム(ピアース・ブロスナン),ビル(ステラン・スカルスガルド),ハリー(コリン・ファース)に結婚式の招待状を送る。
- この映画は,地球の上空約400キロの軌道を時速2万8000キロで回りながらの国際宇宙ステーション(ISS)の組み立てについての3D映画だ。
- 野口さんは国際宇宙ステーション(ISS)の全地球測位システム(GPS)のアンテナを交換した。
- これらの品目は,国際宇宙ステーション(ISS)に持ち込める飲食物のリストに追加される予定だ。
- 今回の任務における作業の1つは,日本の実験棟「きぼう」の船内保管室(保管モジュール)を運び,国際宇宙ステーション(ISS)に取り付けることだった。
- 2008年3月の自身2度目となる宇宙任務では,日本の実験棟「きぼう」の船内保管室を国際宇宙ステーション(ISS)に取り付けた。
- 彼は国際宇宙ステーション(ISS)に133日間滞在した。
- 彼は,HTVが再使用可能になり,地球と国際宇宙ステーション(ISS)の間で宇宙飛行士を輸送できるようになってほしいと話した。
- 国際宇宙ステーション(ISS)への彼の最初のミッションは2005年だった。
- 宇宙飛行士の野口聡(そう)一(いち)さんが先日,国際宇宙ステーション(ISS)内で地球にいる生徒のための科学実験を行った。
- シャトルは4月7日に国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングに成功した。
- その記者会見で,山崎さん(39)は国際宇宙ステーション(ISS)での自身の活動について語った。
- 宇宙での任務中,野口さんは国際宇宙ステーション(ISS)で161日間過ごした。
- 宇宙飛行士の若(わか)田(た)光(こう)一(いち)さん(47)が国際宇宙ステーション(ISS)の船長に日本人として初めて就任する予定だ。
- 1月28日,こうのとり2号機は国際宇宙ステーション(ISS)とドッキングした。
- 16日間のミッションにおけるエンデバーのおもな任務の1つはアルファ磁気スペクトロメータ2(AMS-02)を国際宇宙ステーション(ISS)に運ぶことだ。
- ソユーズ宇宙船は6月10日に国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングに成功した。
- 5月31日,無人宇宙カプセル「ドラゴン」が,国際宇宙ステーション(ISS)への貨物輸送任務を成功のうちに完了し,地球に帰還した。
- 星(ほし)出(で)彰(あき)彦(ひこ)さん(43)と他の2人の宇宙飛行士を乗せたロシアのソユーズ宇宙船が7月15日,カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から国際宇宙ステーション(ISS)へ向けて打ち上げられた。
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