【パラベラム・ピストーレ】(ぱらべらむぴすとーれ)
DWM Parabellumpistole
DWM社がボルヒャルト・ピストーレを大幅に改良して設計した半自動式拳銃。
C96に次ぐ世界二番目の軍用ピストルであり、制式採用されたものとしては世界初である。
DWM社でボルヒャルト・ピストーレの販売促進をおこなっていたゲオルグ・リューゲルは、これを小型化すれば実用的な拳銃になるのではないかと考えていた。またスイス軍もボルヒャルト・ピストーレに興味を示していたものの、現状のままでは大きすぎるため改良する必要があると判断した。
リューゲルは社内で改良を進言したものの、原設計者のヒューゴ・ボルヒャルトは方針をめぐって反発、DWM社を離反しマウザー社へ転籍してしまった。改良ピストルの開発は、残された技術者たちの手でおこなわれるようになった。
当初は「DWMピストーレ」「ボルヒャルト・リューゲル・ピストーレ」などと呼ばれていたが、結局はDWM社の電信略号から「パラベラム・ピストーレ」と名づけられた。
なおパラベラムとは、ラテン語の格言"Si vis pecem, para bellum"（汝平和を欲するならば戦に備えよ）に由来する。
最大の懸案は、大型化の原因だったリコイルスプリングを移設することだった。
結局は銃把（グリップ）の中にリコイルスプリングを内蔵することで大幅な小型化に成功、同時に銃把の角度を後ろ斜めにして把持性を向上させた。
こうして誕生したパラベラムは、ようやく現在の基準から見た「まともなピストル」となったため、パラベラムを「世界初のピストル」と呼ぶ人も多い。
（ただし当時の流行で、銃床を追加することの可能なカービンモデルも存在する）
1900年にはスイス軍に制式採用され、その後改良型がドイツ軍へ採用されていった。
ドイツ陸軍に制式採用されたP08は特に有名である。
制式採用により大量生産の必要が生じたため、複数のメーカーで製造されたが、皮肉にも最大の生産量を誇ったのはマウザー社であった。
P08は途中、ベルサイユ条約のために生産を止められたが密かに再開、第二次世界大戦の途中まで生産が続けられた。
しかし、その複雑なトグルアクション機構ゆえ高価で信頼性が劣り、その役割をP38に譲っていった。
アメリカでも評判がよく、軍への制式採用を逃したものの、民間市場では人気のある銃であった。
ところがアメリカの輸入業者がパラベラムに対して「市場においてインパクトが無い」という理由で勝手に「ルガー」（リューゲルを英語読みしたもの）というブランド名をつけてしまったため、「ルガー・ピストル」という名前が浸透してしまった。
日本でも「ルガー」の呼び方が浸透してしまっているが、その理由ははっきりしない。
スペックデータ
バリエーション
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