パソコン通信と同人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/24 08:16 UTC 版)
1980年代中盤はパソコン通信の黎明期でもあり、場所によっては同人ソフト・ゲームの話題や情報の交換も活発に行われた。 また、通信上でのソフトウェアの流通(オンラインソフト)も始まる。しかし、これは同人系とは独立して成立したものであり、当時はまず混同されることは無かった。というのも、当初の通信速度(300〜1200bps程度)と従量課金下でフロッピー1枚分(2DDで約720KB、2HDでは約1.44MB)の容量を流すのは非現実的(最悪だと1時間半近くかかる計算)であり、また金銭のやり取りの不便さ等から、後期に少数の体験版等が流れたことを除けば同人(および商業)ソフトの流通路にはなり得ず、結果的にネットとリアルでの住み分けが為されたからである。 このため、オンラインソフトは小容量で無償のものを中心とした独自の文化を築くことになる。もっとも同時期のパーソナルコンピューター用同人や商業ソフトに比べると小容量とはいえ、同時期の家庭用ゲーム機並の容量は使えたため、ゲームボリュームとしてはかなりの大作も作られている。 それでも、有償のオンラインソフトが一般化するのはWin3.1(1992年)の普及時期まで下る。金銭のやり取りの不便さに加え、開発費はともかく一旦アップロードしてしまえば製作者側に通信費は掛からず、むしろダウンロードする側が通信費を負担する形になるオンラインソフトでは、多額の印刷費+様々な流通経費の掛かりがちな同人誌に比べると、金銭負担の上乗せは理解を得にくかった。有償のオンラインソフトを指すシェアウェアという語も元々、「儲ける気は無いが、開発費を一部負担(シェア)してほしい」というような意味合いである。 さらに、当時のネットワークはいくつかの大手商用ネットと無数の草の根BBSに分かれ物理的に繋がっていなかったので、オンラインソフトの転載が広く行われ、転載の可否やその条件は重要な要素であり、これも無償ソフトの転載に比べ「宣伝活動」のイメージが付きまとう有償ソフトに不利な環境でもあった。 なお、同人ソフトのネット流通は容量的に無理でも、その逆にオンラインソフトをまとめて同人ルートで販売するというケースはあった。これはゲームよりむしろCGや音楽データで顕著である。 あるいは市販ソフトが撤退した機種、特にMSXやX68000では機種存続のために同人・投稿・オンラインソフト作者間の協力や、制作の掛け持ちが行われ、その一環としてまだ(パソコン通信の普及率が低かったために)マイナーであったオンラインソフトを、同人ルートを通して紹介するということも行われた。
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