ニュートリノ
すべての物質を素通りする微弱なニュートリノ
ニュートリノとは、1933年にパウリによって理論的に存在を予言され、26年後に実験で確認された電気的に中性(電荷ゼロ)で、重さ(質量)がほとんどゼロの粒子のことです。現在では電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノの3種類のニュートリノが観測されています。他の粒子との相互作用が弱く、物質を素通りするため、宇宙のはるか彼方や太陽の中心部で発生したニュートリノは、そのまま地球にやってきます。そのため、観測が非常に難しく、実際には塩素やガリウム、水素などの原子核に衝突したときにごくまれに起こる逆ベータ反応などにより検出します。
ニュートリノ天文学の幕開けとなったカミオカンデの発見
1987年、大マゼラン星雲中の超新星「1987A」爆発の際に放出されたニュートリノが岐阜県神岡鉱山にある東大宇宙線研究所・神岡宇宙素粒子研究施設のカミオカンデ(水3,000tを蓄えた巨大タンクを核とする素粒子観測装置)で検出され、ニュートリノ天文学の幕開けとなりました。
素粒子論を変えるスーパーカミオカンデ
太陽や星の中心では核反応や素粒子反応にともなってニュートリノが発生しています。ニュートリノ天文学は、これを観測して星の進化や銀河形成などのメカニズムを探ろうという新しい分野の学問です。1996年4月からは光の検出器の数を70倍以上にしたスーパーカミオカンデ(大型素粒子観測装置)も稼働を始めています。
地下1,000mに水が5万t入る巨大な水槽
このスーパーカミオカンデは、直径39m、高さ41mの巨大な水槽(水5万tが入る)を地下1,000mに設置したもので、水槽の内部に光電子増倍管を1万1,200個並べ、水中に陽子や電子にニュートリノが当たったときに出るチェレンコフ光を検出するものです。今後、ニュートリノのすぐれた透過力を利用できるようになれば、星の内部や銀河の中心を見ることができるようになるでしょう。また、大気のない月面に検出器を設置すれば、すぐれたニュートリノ望遠鏡もつくれるようになるはずです。
ニュートリノと同じ種類の言葉
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