ドイツ鉄道143形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 17:37 UTC 版)
「東ドイツ国鉄243形電気機関車」の記事における「ドイツ鉄道143形」の解説
243形は旧西ドイツ地域でも運行できることを実証できたため、ドイツ再統一以後数年間にわたり、多くの車輛が旧西ドイツ地域へ移された。当初はシュヴァルツヴァルト線、ヘレンタール線、ライン=ルールSバーン、ドルトムント管轄の貨物列車に投入された。1994年に新生ドイツ鉄道が発足して以降、243形はさらに広範な運行に充てられるようになり、143形として改番されつつ、西ドイツ地域でも数多くの線路に姿を現す存在となった。 前節にて言及された212形001号機 (のちの143形001号機) は1984年までLEW人民公社の所有で各種の計測や試験に使用された。改番の際にはデッサウ改良工場で量産機に準じるよう改造工事を受けたが、屋根の透明窓はそのまま残されている。同機は2000年にEKOトランス社の所有になって塗色も銀色・赤色へ変更された。その後2008年5月にはアルセロール・ミッタル社の所有となり、塗色もオレンジ一色となった。 143形は近代的な重連制御装置「ZDS」を備え、貨物列車運行で評価されていたが、うち34機はDBレギオからDB子会社であるRBH物流有限会社 (旧ルール石炭株式会社) に売却された。他の10機(号機番号 020、175、179、204、257、310、344、848、851、864)は同じくDB子会社のMEG社へ売却され、新たな型番 MEG601から610を与えられた。うち4機は2016年4月にハーレのDBカーゴのへリースされた。このように、計37機が新たな所有者のもとで運用されることとなった。 2014年中期までに250機の143形がスクラップとなった。その一因は軽量設計と、衝突時対策の不足であった。軽い衝突であっても機関車構体 (Lokkasten) に座屈現状が起きて、フレームが捻られるほどで、結果として全損・廃車に至ることになる。時速120キロメートルという最高時速はやや低過ぎ、回生ブレーキを未装備である点がネックとなり、車輛の更新時には他の新世代機関車が選ばれることとなった。また一部のスペアパーツも不足気味であった。電子機器の一部は東ヨーロッパで生産され、連続的に近代化された。2016年4月には300機の機関車がすでに廃車され、78機が休止状態だった。 2018年11月時点でDBはなお146機の243形を保有していたが、ドレスデンとニュルンベルクのSバーン、フランクフルト・リンブルク間のタウヌス線、ロストック・コトブス・ベルリンのDBレギオで少数が運行しているのみである。DBカーゴ保有の53機はすべてが休止となった。
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