デルスウについて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/03 01:02 UTC 版)
「デルスウ・ウザーラ (書籍)」の記事における「デルスウについて」の解説
観察力 自然のわずかな変化から、情報を得る能力に優れていた。探検隊の1日後に出発をして追いついた時には、誰かが靴を変えたことや、脚にケガをしたことを知っており、兵士たちを驚かせた。焚き火などの野営跡からも多くの情報を得ており、そこにいた民族、年齢、仕事を当ててみせた。 銃声を聞いた時に、音の反響によって天気を予想して的中させた。たとえば霧の中で強い反響がある時は大雨になると予想した。 生物への配慮 デルスウは、あらゆる動物が生きることに心を砕いた。ある夜、アルセニーエフが肉片を焚火に入れると、デルスウは肉を火から出した。デルスウによれば、残った肉は後からくるアナグマ、カラス、ネズミ、アリたちが食べるが、火で燃やすとなくなってしまう。「タイガには、いろんなひとがいる」とデルスウは言った。 同行していた犬のアリパが寒そうな時には、枯れ草や自分のジャケットを敷いて眠れるようにした。他方で仲間を危険にさらす行為に厳しく、もう1匹の犬のレーシが狩りでパニックに陥って人を転ばせたため、一緒にやれないと怒った。 デルスウは、人間以外の生物や無生物についても「ひと」と呼んだり、「ひと」として表現した。天気がはっきりしない時は、「霧が雲になるか散ってしまうか自分でも知らない」と表現した。薪がうまく燃えないときは「わるいひと」と呼んだ。 狩猟 デルスウは銃の腕前に優れ、隊の兵士との腕くらべでも勝利をして感心された。先住民にとって銃弾は貴重品であり、狩りでは急所を狙うことも必要であるため身についた技だった。 デルスウは身を守ったり食料を得るために銃を使うことには積極的だったが、必要ではない狩りには慎重だった。デルスウは以前にトラと出会った時に、トラが逃げたのに撃ち殺してしまった。それ以来デルスウは恐怖を感じ、いずれ自分が報いを受けると考えた。 食生活 デルスウは鹿の尾(中国語で鹿尾巴、ルーイーバ)をアルセーニエフにふるまった。袋状の尾に白い肉が詰まっており、ご馳走として知られていた。また、肉をフキの葉で包んで穴の中で蒸し焼きにしたものが美味であり、隊はデルスウの方法を見習った。一晩かけて燻製を作る時もあった。 工作 夜の洪水が予想される時には、日中に薪を集めて別の避難場所を用意し、探検隊を助けた。大雨が急に降った時には、樹皮から即席の傘を作った。 経済観念 狩りで得た獲物は等分に分配した。民族や宗教を問わず、隣人には自分と同じ分け前を与えた。同行者に抗議されることもあったが、デルスウは1人でみんなを取るのは悪いと反論した。デルスウは儲けた体験を気前よく話すため、他人に利用されて金を取られることもあった。
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