テレビ版からの変更点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/02 17:15 UTC 版)
「劇場版 マクロスF」の記事における「テレビ版からの変更点」の解説
河森の作品では、テレビシリーズから映画やOVAへと展開する過程で、ストーリーや人物設定を大胆に脚色している例が多いが、『マクロスF』の場合は内包する要素が多岐に渡るため、初見の人でも分かるよう映画として構築するのは難しかった。そこでダブルヒロインのひとりであるシェリル・ノームの設定を変え、「銀河の妖精と呼ばれるトップスターの少女がスパイかもしれない」というミステリーを軸に、ドラマや人間関係を再構成する方法を選んだ。このアイデアを製作委員会で切り出した時は、賛否両論真っ二つだった。物語はテレビ版と似た状況から始まるが、時系列的には「劇場版の始まる数年前にTVシリーズとの分岐点があって、そこからドミノ倒し的に、いろいろなことが変化している」展開となる。テレビ版と異なる結末については、どちらが正史という訳ではないとしている。 登場人物の精神年齢は若干高く設定されており、状況に対してテレビ版とは異なる決断や行動をとる。「何かを選択する過程を通じて成長していく姿」が作品のひとつのテーマとなっている。テレビ版からファンの関心を引きつけた三角関係の行方にも、ひとつの答えが示される。河森はラストシーンについて、単なる恋愛感情を超えた人間のつながりを見つけ出したり、その次への始まりになれたらいいな、という思いを述べている。 音響設計は映画用5.1chサラウンド仕様となり、大画面・大音響による「戦場ライブ」のような空間を目指している。ふたりの歌姫のライブステージには「時計の歯車」「工場船」「錬金術」「魔法少女」といったテーマを設定し、3DCGやモーションキャプチャ、実写などの素材を交えたミュージカル風の演出を行っている。河森は「初めて聞くからこそインパクトのある曲もあれば、耳になじんでるからこそ前と違うシーンとの融合でぐっと来る曲もあって、配置やバランスには気をつけました」と語っている。 メカニックデザインは主役機として、前編にはVF-25/TW1 メサイア トルネードパック仕様、完結編には新デザインのYF-29デュランダルが登場する。テレビ版のCGアクションは意図的にスピード感を抑えたり、情報量を省いた部分もあったが、劇場版では大画面向けに再設計を行っている。本格的な市街地戦闘や大気圏内での高速空中戦、大型艦マクロス・クォーターの活躍などが見所となっている。
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