チャーリー・チャン、「良い」東アジア人
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「アメリカ合衆国における東アジア人のステレオタイプ」の記事における「チャーリー・チャン、「良い」東アジア人」の解説
詳細は「チャーリー・チャン」を参照 実在の中国系ハワイアン警官チャン・アパナ(1871年-1933年)を大まかに基にし、作家アール・ダー・ビガーズが架空の人物チャーリー・チャンを創作した。1925年から1981年の間に小説10作、映画40作の他、コミック・ストリップ、ボードゲーム、カードゲームが作られ、1970年代にはアニメ化もされた。映画でのチャーリー・チャン役はウォーナー・オランド、シドニー・トラー、ロランド・ウィンターズなど通常白人俳優により演じられてきた。 中国人の悪役フー・マンチューと正反対に、東アジア系アメリカ人チャーリー・チャンは典型的「良い」東アジア人として描かれている。『鍵のない家』でチャーリー・チャンは「とても太っているが、女性のような軽やかで優美な歩きをする。頬は赤子のように丸々とし、肌は象牙のような色合いで、黒髪は短く整えられ、琥珀色の目は吊り上がっている」と描写されている。強い訛りのある英語で、文法も間違いだらけだが、大げさなほど丁寧で恐縮しがちである。ボストンの女性から差別的に侮辱された際、チャンは深くお辞儀をして大げさにへりくだって切り抜けた。 チャーリー・チャンは知性や能力を備えているにも関わらず、態度の柔らかさ、控えめさ、そして申し訳なさそうな外見や行動により、主流の観客にとって脅威とならない東アジア人男性像と見られた。チャーリー・チャン作品の多くのプロットは、チャンが白人上司や差別主義者によって過小評価され、探偵捜査を成功させることでそれをひっくり返すという形を取る。多くの現代の批評家、特にアジア系アメリカ人批評家は、チャーリー・チャンには当時の白人探偵キャラクターが普通持っていた大胆さ、自己主張、恋愛体質に欠けると主張し、それによって「白人主義のアメリカは … 安心して私たち[アジア系]を、男として扱わないでおくことができる」と語った。チャーリー・チャンに多くの美点が与えられたことをフランク・チンやジェフリー・チャンは「差別者からの愛」と呼び、チャンがモデル・マイノリティであり、「ごますり野郎」だと主張している。 チャンというキャラクター自体がステレオタイプを固定化することもあった。チャンは小説作品の結末で毎回、中国の故事だとされる架空の金言を述べる。たとえば「万里の長城を建てた秦の始皇帝は「過去の栄光を語って今日という日を無駄にする者は、明日には誇れるものが何もない」と語った」というものである。フレッチャー・チャンは、ビガーズの小説のチャンは白人にこびへつらったりしないと述べている。『シナの鸚鵡』ではチャンは差別的発言を聞いて怒り、殺人犯を暴き出してから「ことによると、チャイナマンの話に耳を貸しても恥ずかしくはないのかもしれませんね」と言ってのける。
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