セラチア‐きん【セラチア菌】
セラチア菌(せらちあきん)
セラチア菌は、土壌や汚水などの自然界に広く分布している弱毒性の細菌で、人間の腸内に存在することもある。健康な人であれば何も問題はないが、手術後で免疫力が低下した患者、子供や老人など抵抗力の弱い人が感染すると、敗血症や尿道の炎症などを引き起こす。
最近では、入院中の患者が病院内でセラチア菌に感染する「院内感染」が発生し、問題になっている。1999年の夏、東京都墨田区にある病院で5人が死亡した事件に続き、2000年の夏には、大阪府堺市にある総合病院でも、セラチア菌の感染による敗血症で患者が死亡した。
これらセラチア菌感染事件は、衛生管理の行き届いていない病院で、点滴を通じて患者の血液にセラチア菌が入ったと見られている。
アメリカでは、点滴で静脈留置針について、3日ごとに針を新しいものに取り替えることが義務づけられているが、日本ではあまり徹底していない。高齢の患者など何度も繰り返して針を刺せない場合、1週間も刺しっぱなしということもあるようだ。
病院に行ってセラチア菌を感染させられるのでは、たまらない。その他の感染症を含め、病院内での衛生管理の徹底が求められる。
(2002.01.30更新)
セラチア菌[Serratia marcescens]
セラチア属
(セラチア菌 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/03 15:33 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動セラチア属 | ||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||
Serratia Bizio 1823 |
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種 | ||||||||||||||||||
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セラチア属(Serratia Bizio)はグラム陰性の非芽胞形成通性嫌気性の桿菌で真正細菌の一属。名称はイタリアの科学者セラフィノ・セラティに因む。
土壌、水中、動植物中にみられる。ブタンジオール発酵を行い、フォーゲス・プロスカウエル(VP)テスト陽性である。オルニチンデカルボキシラーゼを持ち、ソルビトールを代謝できるが乳糖は利用できない。体温付近で最も増殖し、GC比は52から60。鞭毛を持ち運動性がある。エンテロバクター属、クラブシェラ属に遺伝的に近い。プロディジオシンと呼ばれる赤い色素を生産する特長を持つ。薬剤耐性を持つ株があり弱い毒性を持つ。院内感染の原因菌の一つ。
脚注
- ^ Centers for Disease Control and Prevention. “Public Health Image Library (PHIL)”. 2015年2月18日閲覧。
参考文献
- Brock 『微生物学』 (2003年)
セラチア菌と同じ種類の言葉
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